世界には同じ事を考えるヤツが三人はいる?! 驚愕の三輪車



 世の中には同じ事を考えるのは三人はいるという。これは発明することが如何に難しいかという事を示す言葉でもある。
 ワタクシも数年に渡り車を自作しているワケであるが、実は正月にこんなメールを受け取った。


>はじめまして。
>普通ならネットで見かけたサイトにメールするなんてことはマズしない私なんですが、
>2ストローク250ccエンジンで3輪車を自作してるのを知って、
>失礼ですが勝手にお仲間だと思い、思わずメールしています。

<中略>

>実は、私も同じコンセプトで3輪車を作ってしまったのです。
>ちなみにウチの3輪車は
>フロント周り=4輪バギー(ヤマハYF200)
>エンジン・リア周り=(ヤマハTDR250)
>丸・鉄パイプフレーム
>です。

>M田

>完成を楽しみにしています。


 なんと日本にもワタクシと同様のコンセプトで車を作ってしまった方がいたのである。
 送られて来た写真を見て驚愕と自分の知恵の無さを思い知った。
 なにしろ恐ろしい程に高い完成度とナンバーをつけて公道を走っているからである。
 さらにATVにバイクをドッキングというは思いつかなかったからである。まさに臍をかむ思いである。

 その後、しばらくはメールでやり取りをして「じゃぁ会いましょうか」という事になったので 実際にM田氏と車両に会って来た事を書いてみたいと思う。



 M田氏はワタクシの家から電車でおよそ1時間程のところにお住まいの方である。本人の希望により氏の詳細については伏せさせて頂く。
 氏のガレージを開けて頂くとその車が現れた。

 むむぅ。写真以上に現物の完成度が高い。


 カウルを外した状態。
 前半はATVで、後半がバイクのニコイチであることが何となく判るかと思う。
 ラジエターが左右に振られているのが特徴的です。しかも水鉄砲による冷却も出来るようになっている凝りよう。


 別のカット。本来バイクのシートがあった部分にガソリンタンクとオイルタンクが搭載されている。
 おそろしい事にそのタンクすらアルミの手作り品である。


 ステアリング部分。基本はバイクなので操作系はそのままである。


   ペダル部分。こちらも変速レバーとブレーキレーバーはバイクのままである。
 つまり前後のブレーキは完全に独立しているのである。


   フィラーリッドもキレイに仕上げられている。

 実はこの車はM田氏本人が一人で製作したものではなく、近所のカスタムバイク屋で組み立てられたものなのだそうである。(仕上がりが完全にプロであるわけだ)
 250ccc以下の三輪車はいわゆる軽三輪のミゼットと同じ規格にはいるので法律的解釈が曖昧なのだそうである。だからこそ大昔にあれほど軽三輪が流行ったわけであるが、その名残でいまでもトライクなどの三輪車は比較的ナンバーの交付が容易なのだそうである。

 さて、上の写真もそうだが素人の塗装肌にはとても見えない。たったこれだけのカウルなのに普通の車の全塗装と同じくらいの金額がかかっているのだと言う。何故かというと・・


 そのカウルは手たたきのアルミ板金だからなのである。
 アルミ板金でカウルを作るとエラく高価になると心配するが、実はFRPで作るよりも安価に済むのだという。というのもFRPの場合は量産効果があるから安価なのであって、一品ものでは型代が高価なので回収できないのだそうである。
 ワタクシにも「アルミで作れば?」と勧められたが、とてもこのような造形を叩ける程の腕前はありませんがな。
 で、なんで塗装が高価になるのかといえば、アルミの凹凸をとるために下地処理がえっらい時間がかかるんだそうである。まぁプレスじゃないですからね。
 

 折角ガレージから出したので運転しませんか?と勧められましたが、これには怖くて丁重にお断り致しました。
 そこで氏にちょっと走行して頂いたのですがこれにはおののいた。 
 車重220kgに45psのエンジンですよ。弾丸のような加速で飛んでいきました。


 この車両でなんと最高137.4km/hも出した事があるそうである。
 カスタムカーでこの速度はよほどにキッチリとした作りなのであろう。

 度肝を抜かれる加速にしばし声が出ませんでしたが、その後は寒空のなかでの雑談に時が過ぎるのも忘れる程に夢中になりました。
 その氏の話ではこのような車が世の中には数台存在するのだという。

 これは氏から頂いた写真なのであるが、とあるコンビニで偶然に遭遇した同様の車だそうである。手前の車両がそれであるが、キャノピーの作りといい素晴らしい仕上がりに見える。
 世の中広いがかような車を作る人間がワタクシ以外にも”少なくとも”2人はいる訳だ。

 また氏はカスタムバイクも数台所有している。

 その中でも一際キケンな香りがプンプンするのがコレ。
 ポッケ・・・ ですか? 
 これはいくらなんでもケーサツにとめられませんかね。
 ポッケというよりもデッケなんだそうです。


 氏のガレージはなかなかに素晴らしい。
 とあるアパートの駐車場を借り切って大きな物置をガレージ代わりに使っているのである。
 そのガレージへつい先日新しい工具箱を導入したのであるそうだが、これには氏もワタクシも驚いた。
 一軒某S社の工具箱に似せたよくあるツールチェストにみえる。しかし特価1万2千円だという。
 安いなぁと思いフタを開けようとすると「か、軽い・・」。なんかこの工具箱、鉄板がペラペラなんですけれども。
 そう最近のドラゴンツール(中国製)は恐ろしくコストを削り込んでいるのである。
 写真に見えるがフロントトレーの前に板が一枚垂れ下がっているが、これはフロントトレーが飛び出さないようにするためのストッパーなのだそうである。こんなの初めてみたぞ。


 最初の部分にも書いたが、実は氏からメールと写真を見た時には一晩本当に落ち込みました。
 というのもこのような方法で三輪車を組み立ててナンバーを取得する事ができたのですから。
 もしワタクシも最初にこの方法を知っていたらフルスクラッチでは作らなかったと思います。
 
 氏の車両もワタクシの車両も似てはいますが、よく考えるとその生い立ちが異なるのです。
 氏の車両はバイクの部品を多用して作られているのに対し、ワタクシは四輪自動車の部品をベースに作られているのです。操作系にもその違いがハッキリと表れていて氏の場合はバイクの操作系ですが、ワタクシのは4輪自動車の操作系であります。
 しかるに両者はアプローチが違うという事でありますな。

 また氏の場合はカスタムビルダーへの依頼により作り上げられている所謂プロの作品であるのに対し、ワタクシのは完全に素人の車ということであります。
 この差がいかんともし難いところで、やはりプロの仕事はワタクシには到底かなわないものなのであります。
 
 ここでガッカリしていたのでは前に進みません。今回の見学から得た「きちんとした仕上がり」という素晴らしい仕事を是非見習って自分の車両にも反映していければよいかと思うのであります。

 そしてワタクシの車両が出来た時には氏に来て頂いてお互いに並べるという約束をして帰りました。

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