肋骨ポッキンキン
肋骨ポッキンキン
人間生きていると、数回は「アチャ〜!」ということがある。
それも「死ななくてヨカッタ」という事故がである。
今回は「アチャ〜」な出来事をこのWeb siteにもたびたび登場するツチヤ氏の記事に似せてみた。
ちなみに本人の許諾済み。 原文はこちらにあります。
疾きこと風の如く
もうこれは自分が馬鹿だったとしか言い様が無い。
その時目の前にいたボーダーが滑りはじめからコースを飛び出すような腕前であり、その様子をしっかりと見ていたのだから「一般的な腕前」を仮定すべきでは無かった。せめて追い抜くのであればもう少し観察して安全に追い抜くべきであった。
そうする代わりに追い抜きを仕掛けた。場所は舞子後楽園スキー場 ヘアピンカーブ。
その日は三月の三連休初日。新潟県にある舞子後楽園スキー場でスノーボードを楽しみに来ていた。お昼を混雑しないうちにと・・ というわけで11時過ぎには大衆食堂のようなロッジ風のレストハウスで昼食を頂いたのであるが、これがいけなかった。
といってもこのレストハウスがいけないのではなく、ここでビールを1リットル程飲んでしまった事がいけなかった。
ビールを飲んですっかりゴキゲンで滑りはじめたのであるが、近頃はすっかりアルコールを摂取しない健康的な生活を送っているせいか滑り始めるなりグルグルと酔いがまわる。
酔いがまわるというのは不安定なスノーボードに乗っていたらますます危ない。ちょっと止まりそうな速度になると「立ちゴケ」をしてしまう。こりは本当にアブナイ。
そんなフラフラな状況でも滑り始めれば「酔ったイキオイ」である。そこそこ滑るのであるが、低速領域でのバランス維持が意外と難しい。ましては狭い林道コースでは。
折しも三月半ばの暖かな三連休初日。雪面は若干溶けており、日陰の場所ともなればアイスバーンとなっている初心者向けの林道コース。ワタクシの前には「本当に初心者」なるスノーボーダーが滑っていた。
細長い直線を下ってヘアピンカーブを曲がるはずの彼。先行、コース中央。
その彼を追うように滑るワタクシ。後追い。
ラインをクロスさせれば行ける。と思った。
コーナーを1/3程行ったところで、しかし、彼は突然減速し止まった。曲がり切れないとでも思ったのであろうか。
てっきりそのまま曲がるものと思い込んでいたものだから、エッジを立ててパニックブレーキ!
「オイオイ、其処デ停止シタラ、コッチハドウスルンダ! コノマヌケ野郎」と彼を呪った。
シラフ(と思われる)な初心者なら止まれる状況であっても、酔っぱらいには咄嗟の状況、ギリギリセーフのブレーキングで停止はしたのであるが・・・
停止したとたんに今度は谷側のエッジが雪面に食い付きそのまま倒れ込む。これを「逆エッジ」と言う。(バイクでいうところのハイサイドである)
突然の出来事+飲酒ボーディング → 逆エッジによりアイスバーン上で転倒。しかも受け身をとらずに。
氷に対して胸から激突。ゴーグル越しに見える彼の足が何度かバウンスするシュールな情景が見えた。
その後はひたすら痛みに悶絶。それでもここがヘアピンカーブの真ん中であることは判っていたので何とかコースの端に移動しなければとモガクが、息が出来ないので思うように身体が動かない。
それでもコースの端までテメェをどかして、また倒れ込む。あうぇ〜。
しばらくしてようやく呼吸も整い始めたので立ち上がろうとするが、胸の痛みが酷い。こりゃぁイカン。
それでも何とか自力で下山。その後も不具合な身体で1日滑る。宿に戻りよくよく自分を調べてみると・・
・内出血はしていない
・外傷は見られない
・痛みに堪えて触診すると肋骨の下から数えて3本目あたりが両側とも痛い
どうもこれは肋骨を両側とも折れてしまったのかいな。
それでも温泉につかり、懲りる事無くビールをしこたま飲むと眠ってしまう。
翌日も滑るが、やはり身体を曲げると痛いので滑り難い。早めに切り上げてしまう。
東京に戻ってきて近所の病院に行ってみる・・・
若い受け付け嬢:今日はどうされましたか?
ワタクシ:スノーボード中に転んで肋骨が折れちゃったみたいなんです。
若い受付嬢:それではこの病歴シートを記入してくだい。
ワタクシ:(病気じゃなくって怪我なんだけれどもなぁ)
ドクター:それでは肋骨を一本ずつ押してみますね。
ワタクシ:イテてて そこ痛いよ! 折れているんだから。
ドクター:あー ここね。ここ折れてるね。
レントゲンを撮ってみるとやはり骨が折れているのがハッキリとわかる。
これは本当に自分が馬鹿だったとしか言い様のない、そして八つ当たりのしようがない事故である。
これを機にボディプロテクタ、保険の加入を真剣に考えるのだが、肝心の禁酒ボーディングについては「節酒」というレベルにとどめる事にする。
という様子である。
さて、成田サーキットでは目の敵にされる程に名を馳せた事でつとに有名なツチヤ氏であるが、今回の記事を書くにあたり許諾を求めたのである。
昨今はモールトニアンにもなり夫婦でハッピーかつ健康的なサイクルライフを送っていると思い、「今年のモールトンサミットに一緒に参加しませんか?」とナンパメールを送ってみたのだが、その返事から様々な事情を知ってしまった。
さて、どのような事なのかはナイショなんだけれども、ツチヤ夫妻と耐久レースに参戦している程の仲であるワタクシからは「グレート」なお二人にしかお見受けできない。
きっと今年も何か「スゲェ」事をされるであろうから、その打ち明け話を楽しみ待たせて頂く事にする。
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