酔猫庵 魔宮の伝説 〜男の隠れ家 アレの出る秘密基地〜
<格安アパートの発見まで>
ちょっと郊外などにある海上輸送用コンテナを改造したレンタルボックスを借りていた。
1.5畳分のスペースで¥9,000程であったのだが、ガソリン高騰の時にどういうわけだか賃料があげられた。
こんなものに¥10,000近くも毎月払うのは腹立たしく思えたので代わりになりそうな倉庫をさがしてみたんですよ。そしたら随分身近なところにありました。
場所は自宅からクルマで10分程の住宅街のアパートメント。いや昔ながらの木賃アパートですよ。
木造二階建て。築30年以上は間違いない。電気、ガス、水道は契約すれば開通するが、倉庫として使うのでいらん。6畳部屋とキッチン、和式ながらも水洗トイレ。風呂はないけれども50m離れたところに銭湯もあるので問題ありませんよ。
これで月々たったの¥5,000って格安だと思いませんか?
もちろん不動産屋を仲介しないで大家さんと直接取引だから実現したこの価格。
しかも以前の住人が病死した部屋らしく、しばらく誰も住んでいないそうな。いいぞ いいぞ!
いわゆる「曰くつき」物件ってやつだな。
賃料は半年まとめ払い。もち現金だ。領収書はないので契約書だけは自作した。
階段の踊り場の鉄板などは雨のせいで穴があいている。だからケガしてもしらないし、建物が崩壊したって荷物については責任もとらんということで約束した。
リスクはあるが魅力的な賃料にまんまとのってしまったわけだ。
<かぐや姫の跡地>
そんな魅力的な賃料であるが、室内は昭和の香りがのこる神田川ってもんだ。
台所から部屋をながめた様子だ。
畳敷きで日も差し込むしナカナカいいじゃないですか。
こちらは台所の様子。使わないからいいけれども、スゴいキッチンだな。
天井裏に鼠が走り回る音が時々聞こえる理由がよくわかる。
キッチンはフローリングなので、そのフローリングにブルーシートを張って養生してみた。
これはトイレ前の洗面台。洗面ボウルのなかにコックローチが一匹死んでいたことはナイショにしておく。右はトイレである。
<超常現象>
こんなステキなアパートをたった¥5,000で借りる事が出来てハッピーなワタクシ。
このアパートの隣には高級マンションのベランダが向かい合っていて、そこの住民と目が合う事がある。向うは10万円以上はしそうな最新マンションにこっちは築30年以上の超熟成アパート。むこうのヒトは目が合ってもすぐに目をそらしてしまう。
だれも住んでいないアパートだから気楽に使わせてもらっていたのであるが、正月に荷物を取りに来ると50代くらいのオッサンがアパートの階段を上がっていくではないか。
はて面妖な。。。
もちろんワタクシも荷物を取り来たのだから一緒に階段をあがる。しかし、彼はなぜか階段を上がるのに足音がしない。。
彼は階段を上がりきると、一番端の部屋の扉を音もなく開けてそれこそ「ふ〜っ」と部屋に消えていった。
「?$%@!& ??」
おいおい、誰も住んでいないんじゃないのか? このアパート。
住んでいない筈なら死んだヒトが帰ってきたのか? コリはビックリ。
大家さんによくよく伺ってみると民生委員で身寄りのない方などを保護しているんだそうである。 な〜んだ。階段を音もなく上がっていった人はそういう理由のある方だったのね。確かに足はあったもんな。
というわけで、¥5,000/月でレンタルボックスよりも広いアパートを借りる事ができたので、当初の目的は達成できたよ。
オマケの話も付いてきて十分に楽しめたのでこれはお得だったかと思う。
世の中、探してみれば面白いものがあるもんですな。
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