震災後の旭市、犬吠埼を自転車で目指す



世の中には変わったヒトが多くいる。
「そういうオマエも充分に変わっている」
とおっしゃる諸兄のキモチは充分に理解できる。

悪い癖だが「ブルベ」というイベントに興味を持った。
自転車で200kmとか300kmとかを走るイベントである。
中には600kmとかを走るというマゾヒストの極みなカテゴリまである。
そんな距離を一人で走れるのか?
とギモンを抱いていたのだが、
そこへ後頭部を殴られたような強烈な御仁を発見してしまったのである。

なんとそのような長距離を
「ママチャリ」
で走り切るという人類の金字塔とも思えるようなお二人である。

銀色の悪魔

ブルベをママチャリでいく漢

この二つのブログの記事は実に驚愕を以てして書き綴られている。
銀色の悪魔はママチャリでロードバイクを引いていたというから瞳孔が開いてしまう。
ブログの最後の方に

「いやあ、自転車が好きなんですよ。お金がなくてロードレーサーは買えないけど、ブルベに参加したくて。」

という本人のコメントが事もなげにあります。
もう涙がチョチョ切れそうです。
なんとなくワタクシがアルトでジムカーナをするのにも似ていますね。


ブルベをママチャリでいく漢というのは
へばな氏 本人のブログもあり、
これまた辛酸の極みが書き綴られており東京電力の幹部は100万回素読するべきであるほどだ。

で、左様な御仁がいるのにも関わらずヌクヌクとモールトンのレストアごっこをしてはエンデューロで遊んでいる自分が急に恥ずかしくなった。
もちろん一般ピーポーはそういう風には思わないことくらいわかっています。
やぱり自分も試してみないと気が済まないので一つやってみることにしたのが今回の話である。
しかしただやるだけでは面白く無いので津波の影響があった千葉県旭市の状況を直に見ることができるコースということで犬吠埼を折り返し地点として200kmのコースを設定してみた。

最寄りの原木中山駅から国道296号線を端から端まで走りきり、
被害のあった飯岡町を抜けて犬吠埼までの片道100kmです。
課題は一日で200kmも走ったことがないということと、
その日は午後から北西の風、風速13m/sということだけです。


まぁなんとなるだろうと朝6時に東西線原木中山駅を出発します。


渋滞の名所でもある国道296号線の入り口に到着。
寒いと思ってサイクルジャージの上にウィンドブレーカーを着ていましたが蒸れてしまったのでココで脱ぎました。


最初の休憩ポイントでもある佐倉駅前交差点のローソンで熱いお茶を購入して飲みます。


ここで丁度30km地点だからです。
まだ道路が空いているのであっというまでした。
ここまでで80分というところでした。


東関東自動車道をまたぎます。


296号線の難所はいきなりココを右折するということだ。
手前の看板を見過ごすと直進してしまいそうだが、ここは右折だ。


道の駅多古に到着。
ここで燃料補給をする。


道の駅の裏側には川がありベンチも設置されていたのでここで一息。



地図はiPadで確認しながら燃料補給を行う。
3G回線モデルのiPadは輪番停電中でもネット接続ができるのでとっても便利。


なつかしい自転車が止まっていた。
ジウジアーロデザインでしたっけ。
変速レバーが強烈ですよね。


296号線を終点まで走り、さらに進むと太平洋を望むことが出来る。


千葉県九十九里浜を北上すると旭市に入る。
海岸沿いの走ると早速このような状況が目に飛び込む。
すぐそばにいた老人に訪ねてみると
海につながるドブ川だが、ここまで津波が遡上してきたという。
家の梁が引きちぎれているから恐ろしい。


もうちょっと進んでみるともっと凄いことになっている。
海っぺりの公園なんだけれどもメチャクチャである。


山側を見てみると何かの工場があるのだが、パネルが剥がされている。
中まで水が入ったらしく排水をしていた。
他の工場も鉄扉がひん曲がっていたりとその力の凄さにひれ伏す。


この川にはかつて自転車用の橋があった。
左手にトラックが通過しているのは車用の橋だ。
自転車用の橋はどこに行ったのかというと・・・


その自動車用の橋の上に乗り上げているのである。
橋の上に橋があるというのは実に奇妙だ。


街のアチコチで片付けが行われている。
ところどころに瓦礫の山が築かれている。


海岸沿いはこのような防波堤がある。
しかしコレをあっという間に乗り越えてきたようだ。


旭市は既に随分と片付けが進んでいてボランティアの方々もうまく割り振られて作業をしていた。
この辺りにも家が建っていたのだが

 
基礎を残してウワモノは全て撤去されている家もある。
トイレと風呂だけが残された家の跡もある。
ここまで至らなくても窓ガラスが割れたり、壁が破損したりしている家が多い。
この日はよく晴れていたので干し物がアチコチで見られた。

 
なんだかんだで5時間程で犬吠埼に到着。
千葉県の北側は割となだらかな土地なんだけれども犬吠埼の付近はチト高い場所になっている。
昔あったはずの銚子有料道路はいつのまにか無料になっていた。


折角の灯台も中には入れないようになっていた。
犬吠埼は初日の出の見所として有名なのでいくつかのお店がが並ぶ。
お昼も近いのでちょっと食べていきたいところだ。
折角海が近いのだから海鮮系のマズラーメンが食べたいぞ。
ありがたいことにどこの店もヤル気がまったく見られないのちっとも美味しそうに見えない。


一番ハデなオバハンがいる「 海鮮レストラン海づくし 」を選んで「海鮮ラーメン」を注文してみた。
醤油ラーメンに冷凍のエビ、ムール貝、ホタテとまったく銚子で採れたものではないとこが素晴らしい。
麺とスープの味はまぁ普通なんだけれども具は最低だ。
案の定、ここのオバハンも強烈で津波の話で盛り上がる。
なんでも銚子は少し高い場所に家々があるので昔っから津波の影響を受けないんだそうだ。
たしかに此処に来るまではちょっとした山岳コースだったな。
食後のコーヒーがなかなか出てこないので結局1時間以上も犬吠埼にいてしまった。

 
戻りの途中に廃線の危機にある銚子電鉄の犬吠駅に寄ってみる。
廃線の駅かと思うほどにやつれている。
修復中なのはいいとしてもう少し色を塗るなりなんなりしましょうよ。


電車はかろうじて走っているけれどもこれじゃ危ないなぁ。
なんとか助けてあげたいところだ。


ビニールハウスの向こうにそびえるのは天下りの御殿
かんぽの宿旭
だ。
地震のために営業停止なんだそうである。
ワタクシもかんぽの宿の風呂だけは何度か利用したことがあるが、
実にバブルな施設であった記憶がある。


旭市の市役所に立ち寄ってみた。
やっぱりというか休日でも営業している。
ちょっと写真がブレてしまったがボランティアの受け入れもしていた。
雰囲気には「一応やってます」みたいなところなんですが。。。


犬吠埼から国道126号線を30kmほど南下して八日市場の国道296号線入り口までなんとか到着。
ここまでは横風だったので時速25km/h前後で進めた。
やっぱりクルマがところどころ渋滞しているので走りにくい。

ここからは西に進路をとるので完全に向かい風となる。
風速13m/sという予報だったのだけれどもホント大変です。
20km/hくらいで進めればいいほうで、上り坂では久しぶりに一番軽いギアを使ってもしんどい状況です。
この時に初めて10km/h以下まで落ち込みました。
ペダルを止めちゃいかんと何とか頑張ったのですが、


富里付近で猛烈な砂塵に会いました。
ここは木立があるのでなんとか凌げますが、
この木立が切れると視界が200mくらいしかありません。
自転車をこいでも1mくらいは蛇行してしまうので身の危険を感じ初めて降りて押しました。
ワタクシはメガネだから目の中に砂が入ってもまだいいですが、
コンタクトだったら無理です。
なにしろ目を開けたら細かい砂が入るので開けられない。
それじゃ前に進めないので手探りのような感覚で前進します。


朝、最初に立ち寄った佐倉駅前のローソンに到着。
丁度170kmを走ったところです。
ここまでも向かい風がキツく、すでにヘロヘロな状態。
リュックに積んできた最後のアミノバイタルでエネルギーチャージして出発。
ところが16号線の内側に入ったあたりから296号線はいつもの渋滞が続く。
もうね縦列駐車じゃないかってくらいに渋滞。
296号線はかつての成田街道なので道幅が狭い。
自転車は車道を走る余裕がなく、歩道のドブ板の上を慎重に走るしかない。
しかも前から人なり自転車が来るとすれ違うのも一苦労である。
ケツと手が痛くてもうタマラン! というのに進まないというのは実にいやらしい。


ケツと手の痛みに耐えながらなんとかゴールの原木中山駅に到着。
朝6時に出発して5時21分に到着です。

時間:11時間21分 
実走行時間:8時間47分43秒
走行距離:206.3km
平均速度:22.8km/h
最高速度:51.7km/h
となった。

初めての200km走行はアチコチ立ち寄ったりしたので時間はかかったが、
ブルベ200kmの制限時間でもある13.5時間以内というのは守れたかな。
もしブルベとしてちゃんと走ると10時間位で走りきれそうなタイムですね。
もっとも今回は単独走行だったのですが、
実際のブルベではドラフティング(スリップストリーム)を使えるのでもうちょっとマシなタイムになるはずです。

今回試してみたなかでの問題点は

(1)ケツが痛い
(2)手が痛い
(3)体温調節

である。
ケツが痛いといってもケツパッド入りのサイクルパンツははいているし、
サドルも一番長距離に向いているものだからこれ以上改善が難しいのかなぁ。
なにか方法を考えないと。

手が痛いのはハンドルの位置を下げ過ぎているからだ。

ご覧のとおりサドルよりも10cm近くハンドルの位置が低い。
これはワタクシの身体には小さすぎるフレームでスタートダッシュしなければならない自転車通勤からあみ出したもっともパワーと速度が出せるカタチなんだけれども、
やっぱりこれじゃ長距離はチト厳しい。
やるならもう少しハンドルの位置を上げてみようかと思う。

体温調節も難しい。
帰りは集中力が切れてきて体温調節までアタマが回らなくなってきてしまった。
結局体が冷えてしまい翌日から鼻風邪になってしまった。
ウィンドブレーカーは持参していたのに。。

次回は300km走行を試してみたいものだ。



  
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