タールの沼に嵌った手負いの獅子7


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 子供達が通う保育園の親御さん同士でキャンプしたいということになった。

 向こうの奥さん曰く

 「酔猫庵さん主催のキャンプだとグレートなことになりそうだ」

 ということらしい。

 ワタクシのようにプロ用タコ焼き機とか普通持っていませんからね。

 で、キャンプのためにプロパンガスを借りようとしたら条件厳しくなっていたので借りれなかった。

 プロパン業者はインフラ屋さんなので9-17時商売をガッチリ決め込んでいる。もちろん月-金しか商売しない。

 サラリーマンであるワタクシにとって、そうホイホイと行って借りるのは難しいのだ。

 そこでプロパンボンベを買い取るとしたら? と思ったら設置条件厳しく難しい。

 どうもプロパンガスの爆発事故以来、借りるのも買い取るのも難しくなったようだ。

 そんなわけでキャンプは延期した。機材を持て余したのでテントを張って整備していたら近所の子供もやってきて、これはこれで盛り上がる。  

チャコールキャニスタとは


 この車にはチャコールキャニスタという装置が付いている。ガソリンタンク内で発生した気化したガソリンを活性炭で吸着させ蓄えるモノだ。

 ということを初めて知った。プジョーのアイドリング不調は解決できていないのだが、整備書やパーツリストをよく眺めることで、いままで知らなかったことをたくさん知る機会になる。

 前向きに考えれば勉強の機会を得たというモノだ。

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 プジョー106にもチャコールキャニスタは付いているし、揮発したガソリンをインテークに戻す制御するための電磁弁「チャコールキャニスタ・パージソレノイドバルブ」もある。

 ひょっとしてこれが正しく動作していないとすると・・ 吸気の制御はおかしくなってエンジンはハンチングするかもしれない。あやしい。

まずは取り外してみて口で吸ってみると、ちゃんとバルブは閉じている。バッテリに接続すると安っちい音をたててパッチン、パッチンと動作することを確認できた。もちろん口で吸えばバルブの効きも確認できた。

 これでチャコールキャニスタ・パージソレノイド本体は正常であると確認できる。前後に接続されるパイプも確認したがヒビ、割れもない。吸ってみたら吸着した気化ガソリンを思いっきり流れ込んで涙が出た。

 次は電気のチェック。コネクタからECUまで導通チェックしても問題無し。では制御はどうか?

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 テスターを接続してエンジンを回してみる。どういう動作なのかわからないが、エンジン始動するとすぐに電磁弁は動作する。エンジンを切ると閉じる。うむ、どうもこれは正常なようだ。

 ついでにインマニへ接続されるホースを外してメクラ栓をしてみる。エンジンの調子は変わらない。うむ、あんまり関係ないのかな。

エンジン不調のなぞ


 そもそもエンジン不調については2種類ある。

 エンジンをコールドスタートさせると、エンジンはハンチングする。正常に回転する場合もあるし、そうでない場合もある。微妙な症状。

 もう一つは暖気後のストール。普通に走るんだが、アクセルを離すとアイドリングせずエンスト。

 インターネットで調べてみたら、プジョーの持病みたいなものだそうな。いやいや、そうじゃないでしょ。それは車とは言わないって。

 前者は冷間時に2000rpm前後でハンチングなのでかなり異常な回転数かな。制御としてはおかしいと思う。冷間時というのがキモです。つまり冷えているときだけ、ハンチングするんだから温度で変化するところは怪しいよね。考えられそうなのは・・

  1. O2センサヒータ:冷間時にO2センサを温めるためのヒータ効かず?
  2. 水温センサ:水温を勘違いしている?
  3. クランクセンサ:冷間時だけ勘違いする?
  4. 吸気温度センサ:インテーク温度を勘違いしている?

 温度センサは怪しそうです。O2センサも冷間時は働かないのでヒータで温めて使っているからヒータ効かないとハンチングしそうです。クランクセンサ異常なら冷間時だけってことは少ないのではないでしょうか。

 というわけでまずはO2センサのヒータから探ってみましょう。

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 車をジャッキアップさせてエンジン裏側にO2センサのコネクタはありました。過去に交換された形跡あります。まぁそうでしょうね。

 テスターで抵抗値を測定するとどちらがヒーターのコネクタかわかります。5Ω前後なので、まずは問題なし。念のため、ハーネスを揺すってみたり、ヒューズやGNDまでテスターで導通だけは確認しておきます。どちらも同じ形状のコネクタなので差し間違いということも考えられますから。

 バッテリ+側はいいのですが、GND側がどうも微妙。どこでGNDに落ちるかわからない。どこかにターミナルありそうだけれど、見つからない。試しに片っ端からGNDターミナルを外してみたが、わからない。うーん。

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 ヒータの上流側にあるリレーコネクタも問題なし。一箇所だけ黒い異物が詰まっているように見えたので小躍りしたが、実は未接続の端子だった。誰だよ。未接続の端子にゴミを詰め込んだやつは。

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 O2センサそのものはまぁこんなものなのかな。ススだらけになるのは仕方ないか。O2センサのヒータは大丈夫だった。酸素濃度出力についてはデジタルテスタでは測定できないだろう。アナログテスタだとたぶん見分けつくはず。オシロスコープあれば完璧。なんでもデジタルがいいということはない。

 デジタルテスタはサンプリング間隔ひろいため、あんまり早い変化に追従できないのよ。アナログテスタならギリギリ見られると思うけれど。

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 続いては水温センサ。水温センサは2つある、右はメータ用、左はECU用らしい。

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コネクタボロボロで断線していそう。どうしてこうなるかな。たぶんエンジンの熱でゴム部分は硬化してしまったからだろうな。

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 ゴムの部分を剥がしてみるとこの通り。電線の皮膜はちぎれて芯線見えているじゃないですか。濡れたらショートするよ。プジョーというか外国車はこのコネクタを使っているから、調子悪くなるんじゃないか?

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 以前からあやしいハーネスだったので、怪しい箇所は修理するためにeBayで電線付きコネクタを入手しておいた。ちなみにコネクタはAMP製。カチカチに硬化してボロボロになるゴムは廃止されて、ブーツになっている。

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 そのままでは使えないのでキー溝の分だけニッパーで切り取っておく。

 これで接続は完璧になるはず。ハーネスは車の血管だから大事にに扱わないといけないのに、つながっていればOKと軽視する御仁もいる。。

 肝心のセンサーは抵抗式なので、テスターで抵抗値を測定してみると・・ 無限大。いやいやそれはないでしょう。試しにエンジンをかけて、センサー出力電圧をテスターで測定してみると、エンジン温度上昇とともに電圧変化していた。このセンサーは半死半生かな。

 ただ、このセンサはメータパネルの水温計なので、今回のアイドリング不調とは関係ない。

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 こうなってくるとヤってはいけない全部交換したくなる。吸気圧センサーもeBayなら激安。でも到着したものは形状違うじゃん。イギリス・ポンドで購入しているのに発送元は中国だったりする。安いなりに適当だよ。

 で、これも冷間時のアイドリング不調とは関係なかった。

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 eBayで購入した激安オメガセンサー。O2センサともいう。1秒周期くらいでのハンチングなのでこれが怪しい。調べると酸素濃度出力波形はおよそ1Hzだからだ。

 センサーのネジ山に塗布してあるグリスはキモだったりする。決して清掃して適当なシャシグリスを塗ったくってはいけない。フロントパイプは想像以上に高温だからだ。このグリスは焼きつき防止のために塗布されている。

 で、これを交換したら冷間時のハンチングは治まった・・・ ようだ。うむ、よかった。

 これで喜んでいてはいけない。暖気後のエンジン・ストールはこれが原因かわからない。たぶんこれは違うと思う。

 主に暖気後にストールするということは熱の影響を受けるということだろう。センサー系でなければ吸気の二次側にありそうな気がする。

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 吸気の一次側を取り外そうとしたらK&Nのフィルタカバーが外れた。キノコクリーナーむき出しって嫌なんだよね。埃でダメになるし、水かぶると吸わないし、吸気音うるさいし、チャンバー効果ゼロじゃないか。

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 スロットルのインシュレータ。だいぶ痩せこけている。交換しようかと思ったが、単品で220ポンドもする。つまり4万円もする。イタリアの赤いスポーツカーの部品代かと思う価格設定だ。

 液体ガスケットを塗って機密性を上げておく。

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 ブレーキブースターに接続される負圧ホースはヒビだらけであった。これじゃぁエア吸いそうだ。

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 このホースも5千円以上もする。なのでちょっとだけカットして再利用する。

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 その先にはブレーキブースターがある、ブレーキフルードが溢れて錆び付いている。これは怪しい。ブレーキブースターはインマニの負圧を利用して、ブレーキの力を倍増させるからだ。

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 ということでバキュームテスタ登場。メータついていると非常にわかりやすい。

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 ブレーキブースタ内を負圧にしてみるが、どこからか大気が入ってくる様子はない。

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 ブレーキペダルを踏まない静的な状態では漏れていないだけなのかもしれない。ブレーキペダルを踏んでみる。踏めば圧があがるので0になるのだが、踏んだペダルを戻しても負圧にならない。おかしいな?

 試しに自転車の空気入れで少しだけ加圧してみる。ブレーキペダルを数回踏んでみたらいつのまにか圧が抜けていた。おお?漏れているか?再度、メータとにらめっこしながらブレーキペダルを踏んでみたりするが、圧は抜ける様子ない。どうも怪しいな。

 エンジン暖気後にアイドリングしない状況というと、エンジンルームの温度上昇時。ブレーキブースタを温めた状況変わるかな? 一度、ブレーキブースタを外してチェックしてみたいが、ブレーキマスタシリンダに接続されるブレーキパイプのナットサイズが11mmで、手持ちの工具では外れない。次回に持ち越しかな。    

回路の回り道


 メータパネルの照明がどうも暗いのでメータパネルを取り外して確認してみた。バッテリのGNDを外してたつもりが、外れておらずメータパネルのパターンとGND間で短絡させてしまった。

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 メータ照明全消灯になったので、調べてみるとパターン焼損である。自爆してしまったの。

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 まぁワタクシは電気屋さん(正確には電子屋さん)なので、なおせばいいんです。パターンは見事に焼き切れております。電線で適当に繋いで修理するだけです。

 で、メータを元に戻してキーをひねるとウインカーが点きっぱなし。あれれ。

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 ウインカーリレーでも壊れたか?ハンドルコラム下に隠れているリレーターミナルを引き出す。灰色のがウインカーリレーだ。

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 リレー本体は故障していない様子。プジョー純正だと4〜5,000円するが、国産車向けだと1,000円。互換性あるので、どっちがいいかは考えるまでもない。しかし、壊れていないものは交換する必要ないです。

 ヘインズの回路図をよっくながめるとわかった。こりゃメータパネルの配線ミスだろ。メータパネルを取り外して、焼損したパターンを追ってみると、配線ミスだった。あーやっちまった。でも、治せばいい。

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 ついでに切れた電球も交換する。電球自体は国産車でも使っているメータ電球でOKだ。全部で10個も交換したが、10個も電球切れていて以前のオーナーはよく乗っていたものだ。

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 これで修理完了のはず。メータを車に戻して確認だ。

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 久しぶりに全点灯したメータパネル。いらん回り道をしてしまったな。  


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