タールの沼に嵌った手負いの獅子3


 秋(とき)は来る。必ずやってくる。

 仕事でも遊びでも家族の事でも必ずその秋はやってくるのである。

 昨年の夏から仕事の同僚は癌になってしまった。

 その同僚は昨年のクリスマス前に会社を早退して以来、出社することはなかった。

 それからカレンダーも変わり、ワタクシは2月になって扁桃腺炎症を治せず風邪をこじらせ、2日間も会社を休んだ。

 病院で薬を貰ってきたらついでにインフルエンザも貰ってしまい更に5日間の謹慎有給を取らされるというマヌケぶり。

 インフルエンザの頭痛は凄まじく、脳内で核爆発するんじゃないのかというくらいだった。

 ようやく眠れるくらいになったら夢に件の同僚が何度も登場した。

 その翌朝、会社から件の同僚は他界した・・ という連絡を受けた。

 のちに聞いた話では癌は骨まで達してモルヒネを打っても、のたうち回る痛みだったという。

 ワタクシの夢に出てきた同僚は無表情で、ワタクシは何度、声をかけても何も返してくれなかった。

 まさかそれが最後の別れになるとは。

 昨年の秋に同僚は抗がん剤治療を受けてもほとんど効果なかったとわかり、死を覚悟してほとんどの療法を諦めた。

 なかなか出来ない決断だが、同僚はこの3年間一緒に続けてきた仕事を気にしてメールで連絡をしてくれたりと、最後の日までいつでも出社できるようにスーツを吊るしていたという。

 いつかこの日は来るとわかっていたけれど、やはり現実にその日がやってくると受け入れがたい。

 同僚の死はなんともしがたいが、風邪はなんとかならんだろうか?

 いろいろと考えた末に

 「強力な風邪薬を常備しておこう」

 という結論にいった。海外出張のたびに風邪薬を入手して帰国してきたが、強力な風邪薬はeBayでポッチするだけだ。

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 アメリカにあるDayQuil、NyQuilである。DayQuilは昼間用、NyQuilは夜用。NyQuilを服用すると数分で強制的に眠りにつく。もうね全身麻酔のようなものですよ。すごいなコレ。

 アメリカでは液体タイプも販売されているのですが、プソイドエフェドリンという 覚せい剤の原料にもなるのを含んでいる。すげーな。実は日本でも鼻炎薬に含まれていたりしていることはみんな知らない。飲むと不調の筈なのに、普段よりも絶好調になっちゃう。

 

 

焼肉LSD


 スペインからトルセンLSDを購入して3週間ほどで到着した。

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 在庫品を出荷したのではなく、都度加工して出荷するのかな?

 今回はそれなりの荷姿で到着した。

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 どこかで見たことあるLSDだなぁと思ったら、日本国内にあるプジョー屋さんの広告に同じLSDを見つけてしまった。

 ワタクシはほぼ仕入れ値で購入しているけれど、日本国内で真面目にショップから購入するとそれなりの価格になるものなのですね。

 これであとは組み込むだけ!と勢いついたが、そうはいかない

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 LSD本体とリングギアはボルト止めではなく、焼き嵌め式だった。

 これはリングギアを温めて膨張させることでLSD本体に取り付けられる。

 リングギアは冷えてくると収縮するのでLSD本体とがっちり固着するというわけだ。

 純正デフも焼き嵌めしてあるだけでリングギアとLSD本体は溶接しない。

 それで滑らないのか心配になるからスペインの業者に問い合わせてみた。

 すると

 「溶接する方もいますよ。溶接しなくてもトラブルの報告はないです」

 とのこと。

 ふーん。じゃぁ溶接しないでやってみようか。

 焼き嵌めはストーブの上でリングギアを温めたりすれば、リングギアは膨張してLSD本体にスコンと嵌められる。けれどもワタクシはおあつらえ向きなストーブを所有していない。

 カセットコンロでやることも考えた。カセットコンロは風吹くと火力安定しないため面倒なのね。そこで近所のブックオフへ行ってみた。

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 2,000円で電気式ホットプレートを見つけたので購入してきた。寸法測ってちゃんとリングギアを収められるサイズのプレートである。

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 デフのサイドベアリングもついでに温める。蓋をして20分ほど待つ。手前に見える非接触温度計で温度を測定する。ホットプレートは150度まで達するが、リングギアは110度にも達しない。おかしいなぁ。

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 とりあえず嵌めてみるかということで革手でリングギアをつかんでLSD本体にあてがったらスコンと挿入できた。サイドベアリングもこの通り問題なし。

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 反対側もこの通り。このLSD本体はサイドベアリングの脱着をしやすく考慮した形状でつくられている。結構真面目に作ったみたいね。

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 熱伝導性を上げるためにオイルを敷いたのだ。リングギアを嵌め終えた後のホットプレートはまるで焼肉終了後のようだ。

ウンチクシンクロメッシュ


 今回はへたっているかよく分からないシンクロメッシュについて調べてみた。

 webで眺めるとシンクロメッシュのへたりについてマトモに記述されている記事を見つけられなかったので、まずは勉強です。

 いろいろと勉強したらシンクロメッシュについて知らなかったこともたくさんあってよかったわ。でも、肝心なことは書いていない。だからそれまでの知識を総動員して想像するのだよ。

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 イギリスから取り寄せた新品のシンクロメッシュリング。なぜかサビているしバリもひどいのね。シンクロメッシュの素材には鉄と真鍮の2種類となる。カーボンもあるけれど、実用ではお目にかからない

 鉄系は経済的で高強度、高耐摩耗性を有する。真鍮やリン酸銅は加工性に優れるので安価に作れるはず。

 プジョーは鉄で出来ていました。これならエンジンもミッションも15万キロノンオーバーホールをうたえそうです。欧州圏では信じられないような走行距離の車両もいるものです。

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 どの部位に磨耗があると劣化と判断するのでしょうか。

 よくwebで解説されているのはリング外側のドッグクラッチ機構を形成する外歯の突起部分の尖り具合を指摘されています。でも、ここはそんなにピンピンには尖っている必要はない。トンがっているいると先端部分はもろくなりますから。写真を見てほしい。新品は左。18万キロ走ったシンクロリングは右。外歯はそれほど違いを見出すことはできないのよ。

 で、最初に見るべきポイントは内歯。写真をみれば一目瞭然。左の新品と右のお古では歯先の形状違いますよね。内歯の歯先に磨耗を生じると、歯と歯の間でオイルを保持できる量は減るので、スムーズに同調することは難しくなる。その状況でもドライバによるシフト操作は行われ続けるので、外歯のドッグ勘合は適切な回転数になっておらずガリガリ歯飛びしながら勘合させられるってことかな。

 シンクロメッシュリングとドリブンギアのコーン部分はテーパーによって勘合するわけだけれども、実はこのテーパー部分の角度をきちんと合わせていないと変磨耗したり、シフト時に異音を発生させたりする。

 だから中古品のオーバーホール時には2速のシンクロリングは2速のギアに嵌め直さないといけなかったりするわけです。新品ならそんなこと考慮しなくてもいいだろ?って思うかもしれませんが、シンクロリングを加工した際に真円度を保てなくなっているリングもあるそうなので、新品だからといって信用してはいけない。確実なのは光明丹でアタリを確認する。ダメなシンクロリングはダメですから。こんなことまでするのはよっぽどでしょうけれど、細かいこと一つ一つで完成したときにに差となるので、注意したい。

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変えれば変わる、なぞなぞトランスミッション


 トランスミッションを仮組みしてみた。

 そうしたら問題発生。

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 5速のシンクロを取り付けてみるとシャフトに刻まれた溝はあとわずかであるが見えてこない。

 溝が見えないとCリングでシンクロを抑えることもままならない。

 こういうことはまぁあること。

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 左がいままで使ってきたシャフト。右は今回のシャフト。

 今まで使ってきたシャフトには先端にネジを切っていたので、ナットを締めて5速のシンクロを抑えていた。

 今回のシャフトにはネジを切っていないので溝を利用してCリングを嵌めて5速のシンクロを固定するのだろう。

 調べてみるとプジョー106の全モデルにおいてネジ切りシャフトを利用している。

 プジョー206のMAミッションはCリングで固定するタイプだった。

 Cリングだけなら手配できるけれど、隠れてしまった溝ではCリングをはめることもできない。困ったね。

 この辺は「チューニング」の領域なので自分でなんとかするしかないだろう。

 考えられるのは

(1)シャフトにネジを切る

(2)購入先に問い合わせる

 ネジを切るにはシャフトを旋盤に咥えて、ダイスを嵌められる直径にまで削らないとならない。これはワタクシの力では無理なので業者に依頼するしかない。

 スペインの購入先に問い合わせる事は出来るんだけれど、ちゃんとした回答を得られるかはわからない。

(1)については旋盤を持っているチューニング屋さんを探して見積もりをしてもらった。 だいたい15,000円くらいでやってもらえそう。まずは一つの方法を確保したかな。

(2)についてはe-mailで事情を書いて送ってみると1週間ほどで返事は返ってきた。

「購入頂いたシャフトは後期型MAミッション向けなので、アナタの持つ前期型MAミッションには合いません。確認不足で申し訳ありませんでした。適合できるようにワッシャーとシンクロハブを送りますので対応ください」

 と、このようもあのであった。

 スペインの業者さん親切ですよね。なんでもトランスミッションのエンジニアさんにまで確認とってもらったみたいです。

 ということなので、スペインより部品到着を待つ事にしようではないか。

適当なアクセルケーブル


 ステリングラックを取り付け直し、ちびり始めていたアクセルケーブルでも取り付けてみることにする。

 インナーワイヤーだけ欲しかったのだが、アウターもセットで購入となる。

 プジョーとシトロエンで共通であり、どうも車種もまたいで共通のケーブルみたい。長さは結構適当で自分で切って使うようになっていた。

 パッキンやブッシュ類も適当なのが数種類入っていた。どう使うかはわからない。

 こういうときには古いケーブルを持ち出して並べてみるのが良い。

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 似ているけれで違う。でも、アウターケーブルの長さだけ調整すれば取り付けられそう。

 この日はここで時間切れ。

 また来月。    


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