6月は梅雨の季節なので車の整備もなかなかできないものでした。もっとも子供のイベントなどもあるから難しいですけれど。
プジョー106 1.3リットルモデルはリアブレーキがドラム式だ。
これならサイドブレーキを利用したターン、つまりサイドターンは簡単にできると思っていたのだが、うまくできない。
これがジムカーナ初心者なら下手くそなだけかもしれないが。いや、だからといってワタクシがうまいと言いたいのではなく、出来ないものは出来ないと言いたいのです。
なぜサイドターンができないのか? サイドブレーキをひいてもタイヤがまるでロックしないのですよ。敷地内で軽く走らせてサイドブレーキを思いっきりひいても「にゅる〜」と生ぬるいブレーキがかかるだけ。なんでだろ?
自動調整機能を詰めてみても変化ない。そこでブレーキシューを交換してみることにした。
プジョー106のドラムブレーキ用シューについては社外品がまったくない。イギリスで調べてもないんだからない。
そこでないものないので作ってもらうことにしました。日本国内ではまだまだシューの張替え屋さんが存在するので、そこに問い合わせてみることしたのですよ。
どこもお忙しいのかe-mailでの問い合わせは話が通じずイマイチなので、電話で直接問い合わせたらいっぺんですべてが通った。初めから電話が基本みたいです。
で、今回依頼したのは目黒ライニングさん。有名ですね。この業界では。
希望はジムカーナ用と伝えたらジムカーナ用というのはないが、レース用の摩擦材は取り寄せることで張替え可能とのこと。
いろいろと聞いてみたのでまとめてみると
だいたいこんな感じ。で、依頼しました。
ロバート・ボッシュのシューに目黒ライニングの摩擦材のコラボです。
これからはプジョーのブレーキパッドとシューの選択に悩む必要がなくなりました。
仮組してみましたが特に問題なし。ええぞ。
この時代のプジョーはリアタイヤを固いところにヒットさせると、このスピンドルシャフトが曲がりやすいらしいので、ブレーキドラムをはずした際にはチェックすることをお勧めする。
ジャッキを購入した。プジョー純正の車載ジャッキがひん曲がってしまったからである。
なので、楽チンな油圧式パンタジャッキにしてみた。タイヤ交換程度ならデカくて重いガレージジャッキは不要である。
この小さいのに慣れるとガレージジャッキは無用の長物になったので廃棄することにした。
ここまでは前ふり。
実は以前から舵角をいっぱいに当てると、フロントタイヤがインナーフェンダーに接触していた。これでは車検に合格できないのでホイールスペーサーを購入して調整を試みた。しかし10mm厚のホイールスペーサーではタイヤがフェンダーからはみ出してしまいやっぱり車検にアウトであった。
またハブ側のホイール取り付け穴が微妙にずれていてホイールをホイールボルトで固定しようとするとボルトに無理な力がかかってしまっていた。
ハブを交換するしかなさそうだし、車検には通りそうもないし、タイヤ屋には突き放されるし、泣きそうだった。
まず、スペーサーについては5mm厚のものを入手してみた。たぶんこれで解決できるはず?
問題はハブのホイール取り付け穴のズレ。これは調べてみたら面白いボルトを見つけた。写真にあるホイール取り付けボルトがそれだ。ボルトと60度のテーパー部分が別体なのである。しかもボルトとテーパー部分はガバガバで多少の芯ズレがあってもボルトに無理な力をかけずに締め込むことができるのであるよ。
きっと外国には粗悪なホイールがあってホイール取り付け穴が正しい位置に開いていないことがあり、こういう製品があるのかもしれない。プジョーなんてアジア圏からアフリカ、ヨーロッパまであちこちで走っていますからね。
横浜の外れにあるタイヤ屋さんがこういうものを知らなかったとしても(知らないフリかもしれないが)、しかたがないかな。外国車の取り扱いが少なければ、今回のような事例も経験しないかもしれない。これが品川区あたりなら外国車比率が高いので、また違った展開になったかもしれない。
ホイールを組み付けてみた。このボルトを使うと、ハブに開けられたホイールボルトの穴のズレを見事に吸収してくれるよ。すげー。
この写真、一番上に刺さっているホイールボルト->スタッドボルト化キットは不要ね。これ、たぶん走行中にもげるよ。
これで大丈夫だろう?と思っていたのだが、やっぱりインナーフェンダーにタイヤが接触する。なぜ?
これは何か根本的に大きな間違いがあるのではないか?アルトの浜坊氏に電話で事例を聞いてみたら思い当たる節があった。
「ストラットのアッパーマウントを交換しているのであれば、取り付けを間違っているのでは?」
浜坊氏はストラットアッパーマウントがアジャスタブルキャンバーの場合は調整範囲のなかでも、タイヤがインナーフェンダーに接触するかも?と懸念されていた。しかし、ワタクシにはそうではなく、そもそもストラットアッパーマウントの取り付け位置が間違っているのではないかという疑問が湧いてきた。
ヘインズのマニュアルを読んでみるとあった
「パワステありなしでストラットアッパーマウンとの取り付け位置が違うので注意すること。間違えるとフェンダーなどに接触する可能性があります。」
写真解説付きで注意されていた。まさにワタクシのプジョーはパワステなしなのにパワステありの位置にストラットアッパーマウントを取り付けていた。
パソコンに取り込んでいた分解前のストラットアッパーマウントの写真を見ると、現在の取り付け位置と違っている。この写真が正解の位置だ。
週末にストラットアッパーマウントの取り付け位置を変更したら、舵角を切ってもタイヤがインナーフェンダーに接触することはなくなった。なーんだ、そういうことだったのか。
答えがわかればなんてことはないけれども、わからないと悩みます。ここまでホイールスペーサーやホイールボルトなどを買ったりして随分と出費してしまったが、遠回りしただけに得たものも多かった。インターネットだけではわからないこともたくさんあって、そういうことを自分で解決していくから面白いのだと思う。まぁ悩んでいる時はまったく余裕ないけれども。
これで普通に走れるようになったので、近所を一周してみる。普通に走りますよ。ハンドルがパワステ付きのように軽くなった。これならパワステなしでも十分に走れるわ。普通に600mほど走ってきただけだが、この車の持つ「楽しさ」が十分に理解できた。いや、面白いよ。いままでのがなんだったのか?というくらいに違います。
理由は足回りがきちんとしたこと。シフトレバーの位置がワタクシに最適化されたこと。もうこれだけでええわ。(そうそう、シフトレバーは接着剤できちんとくっつきましたよ)
車を走らせると近所の方が覗きにやってきた。あのバラバラの車が走っているというのが不思議なんだろう。あれこれ話をしている大事なことを指摘された。
「この車、車検通るんですか?」
もちろん、通るように直した。それはよい。が、この車の車検って再来月くらいかと思っていたのだが、実は残り一ヶ月もないことにき気がついた。
やべ、一ヶ月勘違いしていたわ。そうです。ワタクシがスウェーデンに行っている間に時間は過ぎていたのですよ。
このボログルマを車検に出すといっても、近所で自動車の車検を受けている工場が思い浮かばない。思い返すとちょっと離れたところにコバックがあったか。あとはトヨタのディーラーが近い。
コバックはもともとは普通の自動車整備工場なのでたぶんこのプジョーを受け入れてくれると思う。ただし、あの激安価格になるかといえば、それは・・・ ないだろうけれど。
トヨタも受け入れてくれるとは思うが、たぶん下請け工場かなにかに回されるのでその分のマージンが乗りそう。
自分でユーザー車検を通すというのも考えたが、時間がないので諦めた。
というわけでこのポンコツプジョーをコバックに出してみることにする。
車検整備というほどでもないが、まずは怪しいところをチェック。全部怪しいんだよ!というツッコミは置いておいて、まずは不安材料の抽出をすると・・・
こんなところか。車検にまつわる話には「〜らしい」というのが多い。ので、入庫するところに直接問い合わせてみるのが良いだろう。つまり訊きゃいいんだ。
するとこういう回答であった。
ということだ。シートとシートレールは微妙なんだけれど、コバックとしてはそういう見解なんだそうな。仕方がないのでそこは純正品に戻してくれればOKとのこと。
そういことならちゃんと正規品を買うんだけれどね。これは考えよう。
残項目については別に特に何もなしであった。むしろ、古い車だから部品も出にくいのに頑張ってますね・・ と同情されてしまった。
そういえばエンジンをかけて気になったのが、排気温度警告灯が点きっぱなしだったこと。前から怪しいとは思っていたので、車検前に調べてみたのだが・・
排気管の触媒下流側にある排気温度センサーの電線が非常に怪しい。 ビニールテープでぐるぐる巻きっていう接続はないと思うよ。これでプロの仕事なんだかねぇ。
バラしてみたらこれだ。そりゃ不具合を起こすよ。線が切れそうである。そこで、センサーから外して修理しようとすると、なんとセンサー根元から電線が切れてしまった。どうやら本当に切れかけていたみたいだったのね。
車検の予約をしてしまったので、ここで修理する時間はない。車検を担当するコバックに電話してみたら、そのまま入庫してくださいとのこと。向こうで修理してもらいましょう。
ちょっとドキドキしながらもコバックに車を走らせて行ってみる。こんなポンコツでも受けてくれるのか心配だったが普通に受け付けてくれた。まぁ事前に事情は話していたし。
メカニックマンとの立会で受け入れ状況を確認してみたら排気温度センサー不具合以外にも車幅灯の不具合とウインドウォッシャーの不具合。
車幅灯はダメだったのか? 確認にしたときには大丈夫だったのだが。ウィンドウォッシャー液が出ないのはおかしい。つい先日に動作確認したばかりなのに。まぁこの辺がプジョーっぽいとは思う。こういうノリ?!についていけないと乗れないのかもしれない。
ここのメカニックマンが民間整備工場の方だからなのかプジョーの話でちょろっと盛り上がる。もう街中で見ることのなくなったプジョー106ラリーなんて珍しいですね〜と。
見積もりは8万ちょっと。これは最低価格で、ここに追加修理の部品代と工賃が乗っかってくるはず。いくらになるか楽しみ。
車検に出しただけですっかり車検は終わったものと勘違いしていたワタクシ。だって、ここからは自分で動かなくてもメカニックマンがやってくれるのだから、なんて楽チンなんだろう。
そう思っていたのですが、自分がまさかまた動くことになるとは思ってもみませんでした。
車を預けた翌日に排気温度センサーが入手できず。日数がかかりそうなので大丈夫か? と。ええ。大丈夫ですよ。こんなポンコツに毎日乗るわけではないですから気にしないでください。「センサーが見つからないのならテキトーな中古品でもいいのでつけてくださいよ」と言ったら笑われた。 そしてまた翌日、件のショップから電話がかかってきた。
「工場に空き巣が入りました。お客様のプジョーは無事なのですが、カギを盗まれてしまいました」
はァ??
どうやら空き巣にワタクシのプジョーを含む数台分のカギを持ってかれたらしい。そこでカギとシリンダを全部交換したいのだが、プジョーのカギ&シリンダセットは工場から発注することができず、自身でディーラーに注文する必要があるそうな。
で、ワタクシがプジョーにカギを注文しろと。
せっかく手間いらずの車検だと思っていたのに、また動かないといけないのか。
とにかくカギを持ってかれたということは、いつでもオマエのプジョーを乗って帰ることができるんだぞ!という脅しのようなものだ。プジョーのカギを誘拐されたわけで、策としてはプジョーを移動できないような場所に保管してもらい、さっさとカギを全て交換してしまうことだ。
というわけでカギセットを注文するためにプジョーのディーラーと電話でやりとりしてもいいんだが、こじれそうなのとプジョーディーラーに脚を踏み入れるチャンスはこれくらいしかないと思われるので、近所(でもないけれど)のプジョーディーラーに向かった。
あらかじめカギのことをディーラーの方に話をして、アポイントメントを確保しておいた。日産セレナで約束の時間よりも少し早く到着してみると、エントランスのところで車を降りるように促されて、セールスマンがセレナを駐車してくれた。プジョーって庶民の車だったよねぇ?
店内に入ると綺麗なオネーサンが席を案内してくれた。職場にも受付嬢がいるんだが、お世辞にも綺麗とはいえない(対プジョー比)。なもんだから思わず眺めてしまった。
プジョーディーラーのことを国産ディーラーくらいに予想していたのに、高級外国車ディーラーの雰囲気ですよ。なのにツナギ姿でやってきたことを少し後悔。
アポイントメントしていたセールスマンがすぐに来ないので、普段は遠くからしか見ることのできないプジョーの新車を舐めるように眺める。プジョー208って200万円しないけれど、細かいところをみるとやっぱりそれなりの価格の車という作りをしている。そりゃそーだよ。もっとも106に比べれば遥かに上等だし、文明を感じる(笑)
サービス価格一覧表が掲げられていたので読んでみると驚いた。1時間あたりの工賃が10,800円である。さらに最安価な車種のオイル交換ですら17,800円とある。時間はおよそ30分なのに。一体、どんなオイルを使っているのだろうか?
プジョーはフランスにおける庶民の車だと思っていたのだが、どうやらここではそうではないらしい。みんな、目を覚ますんだ。
さて、アポイントメントをとっていたセールスマンがやってきた。部品の発注だけだと名刺すらもらえなかった。そりゃ向こうは車の注文を受けるのが仕事ですから、部品だけのワタクシのような貧相な客を相手にはしていられないのでしょう。
でも、対応は丁寧で車検証から必要な部品の種類と価格、納期を調べてもらえた。プジョー106のキーシリンダーセットはおよそ4万円弱。納期はフランスからとり寄せでおよそ一ヶ月。
これが国産車なら半額以下で納期は数日なんだが、ここら辺が外国車ゆえにどうしても国産車におくれる。
まぁ金額はショップ持ちなのでいくらでもいい。問題は納期ね。車検まで3週間切っているのにそれはマズイ。大丈夫なのかとショップに確認したら、それは問題ないと。ふーん。
ということでキーシリンダセットを正式発注。しばらくはプジョーに触ることもできない。ので、今回はここでおしまい。
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