ヤブ医者の健康診断12


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 冬休みは千葉の自宅で過ごした。子供を連れて近所を散歩した時に撮影したものである。

 これは建設中の外環道。千葉県市川市 R357の湾岸道路と接続する付近である。地上から地下へ突入することになる場所なので完成するとこのような景色は二度と見ることはないだろう。

 正月はほとんど作業が進まなかった。  

冬の野外作業は鍋でもつつきながら


 ミッションが載ったのでエンジンマウントを交換してみる。プジョーはエンジンのクランクプーリー側、ベルハウジング後方、ミッション本体側の三箇所でボディと接続されている。

 国産車のアルトと違いエンジンとミッションはマウントで吊るしてある。またエンジンとミッションが合体したままで脱着がしやすいようにもできている。

 そんなことではあるがエンジンマウントはレース用を入手してあるので交換します。

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 これはベルハウジング側のマウント。圧入されているのでタガネで叩き出します。

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 純正マウントはゴムをFRPで包んだものなのでタガネで割れば簡単に外れます。レース用は強化タイプなのでFRPが鉄に置き換えられております。もちろん手で挿入できるわけもありません。

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 手で挿入できないならハウジングを温めて膨張させれば挿入できるかと考えました。

 ところが残念なことにこれに失敗。ハウジングが微妙に歪んでいるのでブッシュがスコンと挿入出来ずに途中で止まってしまった。そうこうしているうちにハウジングが冷えてしまい抜くことも挿入することもできず立ち往生。あうあう。

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 必死になってブッシュを引っこ抜いて次はプレス機で圧入。自作プレス機には久々の登場です。

 ブッシュの圧入というのはプレス機があればいいのではなく、治具があって初めて脱着ができるわけです。つまりプレス機と治具はセットみたいなもの。最近はプレス機なんて1万円ちょっとだせば12tプレス機を簡単に購入することができるのですが、残念なことに置き場がない。

 治具もベアリングのアウターレースやソケットのコマなどを組み合わせて試してみるがなかなかうまくいかない。時間があれば図面をひいて治具を外注したいくらいだ。

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 エンジンブッシュを圧入するのにガレージジャッキの車輪を使った。ちょうどいいサイズだったので。ところが圧入しているうちに鋳鉄の車輪が破断してしまった。鋳鉄は延性に乏しいので脆いんですよね。硬いけれど粘りがないってやつ。鋼と鋳鉄はちょっと違うのね。でも、これの扱い方に問題がある。ブッシュの圧入になんて使うなというのが正しい。もしくは使い方に工夫があってもよかったと今更ながら反省。これも勉強だと思えば授業料みたいなものです。

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 それでも苦労してなんとか挿入できた。ミッションを搭載した後にこんなに苦労するとは思ってもみなかった。

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 ついでにエンジン側のマウントも交換する。マウントを取り外すには16mmのディープソケットが必要になる。そんなものは持っていないので急遽ホームセンターで入手してきた。

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 右が古いエンジンマウントブッシュ。左が新品。右側には余計なプレートが挟まっていた。これは草臥れたバッファ(下側)のゴム厚不足を補うために挟み込んでいたようだ。一昨年に前オーナーがフェラーリ屋さんでエンジンのOHをさせた時に挿入されたのかな。なかなか工夫していますね。

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 エンジンマウントの交換はそんなに難しくない。取り付けが終わりエンジンを揺すってみたがまったく動かない。これには驚いた。

破壊と創造 酔猫庵式ビードフォーマー


 外で作業していると近所の人から「いつ頃、完成しそうですか?」と毎回聞かれる。車を置かせてもらっているカミさんの実家からも「よくあんなにバラして組み立てられるな」と言われる。つまり暗に「壊している」ようにしか見えなかったのだろう。

 思い返してみればサスペンションもミッションも全部バラしてから組み立てる。そんな光景を見ることは一般人にはまずないことで、バラバラになった車を組み立てる様子なんてきっと初めて見たからそんなふうに思えるのかも。

 レストアとは言わないが、メカ部品についてはほぼ全部OHしているので、どうしてもそう見えてしまうというのは否めない。

 さて、プジョーのラジエターホースについて進めてみたい。プジョーのラジエターホースはラジエターとエンジンを接続するホースが2本。エンジンとヒータコアに接続するホースが2本。合計4本のゴムホースが存在する。

 しかしこのうちの2本はすでにメーカー欠品である。つまりホースは永遠に入手できない。どうしてその2本だけ欠品になるのか考えてみるとこうだ。

 欠品した2本のホースにはプラスチックが使われていて、そのプラスチックにひび割れが発生してホースとして機能しなくなる。そのため頻繁にその2本だけが交換されることでメーカー在庫が切れてしまった。

 ひび割れする原因はエンジンの振動によるため。エンジンマウントが劣化するとエンジンの揺れが大きくなる。エンジンとラジエター、またはヒーターコアを接続するホースは振動を吸収するために曲げや縮み伸びを繰り返される。ゴムはいいんだけれどプラスチック部分は曲げたり伸びたりすることができないのでストレスがかかりひび割れしてしまう。

 メーカーだってテストはしているが、草臥れたエンジンマウントでテストしたわけではないので開発時にこの現象を発見できなかったのかもしれない。いや、予見はしていたが、そんなものはホースを交換してくれとしたのかもしれないが、予想上に早い劣化で補修部品としてのホースはなくなってしまった。そんなわけで2本のホースだけがやたらと交換されて発売から20年の車なのにラジエターホース欠品となった。

 というのがワタクシの妄想である。

 で、ないものはないのでどうやっても出てこない。きっとプジョージャポンに106Rallyeを修理に出したら「ホースが出ないので修理不可です。新しいプジョーを勧めますよ」と返されるだろう。

 ワタクシはイギリスから社外品のホースを取り寄せてみた。以前にも書いたが微妙どころかやっぱりあっていない。ちゃんと車種を指定したのに。そこで切った張ったでなんとか現物に合わせてみることにする。

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 ラジエターホースの自作は簡単にできるかと思ったが、ちっとも簡単じゃない。だいたいパーマネントに複雑な形状をしているので汎用ホースを切った貼ったではなかなか形にならない。頑張って作ったとしてもホースだけで5万円くらいになるだろうし、エンジンの振動を吸収できず水漏れするかもしれない。

 そんなわけでホースの自作は簡単にはできないんですね。でも、近いもの加工すればなんとかなるのでアルミパイプや汎用ホースでまずは作ってみます。

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 アルミパイプは簡単に入手できる。しかしホースには必ず抜け止め加工が施されている。このようにホース接続口先端に盛り上がりが見えますよね。これを「ビード」と呼びます。抜け止め加工とも言いますね。

 普通のアルミパイプにはこんなもの当然ありません。抜け止め加工をせずにホースを接続することはできますが、エンジンの振動でそのうちに抜けます。抜けると水がなくなりエンジンが冷却できずオーバーヒートでストップになりますね。

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 世の中には同じようにアルミパイプでホース同士を接続しようとする御仁がおられる。抜け止め加工(ビードフォーム)をするには

1)業者にビード加工を依頼する

2)抜け止め加工機を購入する

3)抜け止め加工機を自作する

という選択肢が存在する。1は業者に依頼すればいいが、素人相手にやってくれるところを知らない。2の加工機は5万円ほどもする。毎日使うわけでもないのに5万円も支払うのはチューニングショップくらいか。となれば3の自作しかないだろう。

 ということで大方の御仁が辿り着く自作ビードフォーマーをワタクシも作ってみよう。まずは近所のホームセンターでプライヤーを購入してきた。400円ほどのプライベートブランド品。

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 サンダーで刃先をちょっと加工する。安いプライヤーなのでバターのように削れてしまい笑ってしまう。さすがプライベートブランドのプライヤーだ。

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 適当なテストピースでビードフォームしてみる。アルミとはいえプライヤーで何回もつまむのは手が疲れる。というか手がバカになる。

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 1時間ほどウンウンと唸って出来上がったのがコレだ。

 確かにビードは出来るが雑な作りになってしまった。まぁこんなものかも。なんとなくこれは許せないのでこの場は一旦撤収。会社で仕事の合間に考えてみた。

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 翌週、ホームセンターでまた部材を購入してきた。シャコ万とS字フック。これで改良型を作るぞ。

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切った貼ったで出来上がったのが改良型の自作ビードフォーマーだ。ハンドルにスパナがついているのは持ちやすそうだったからなだけである。

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 テストピースでビードを作る。一気に仕上げるのではなく、何回も繰り返すことでじわじわとビードが盛り上がってくる。

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 左がリトライ品。だいぶマトモになったと思いませんか?これなら誰かに見られても恥ずかしくないでしょう。

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 全部で3本のアルミに6箇所のビードフォームを形成してラジエーターホースの完成。最後の一本を加工してるときにビードフォーマーが崩壊し始めた。結構な力がかかるのでちゃんとしたシャコ万で作らないとダメみたい。

 当初はホースをぶつ切りにして「壊してどうするのか?」と質問されたが、新たな形になって少し違うものが出来たわけである。この少しが車にフィットするかどうかの違いであり、それを知らない人にとってはその違いがわからないだけである。

 破壊をするから創造されるのはいつの時代も変わらない。むしと(程度の差こそあれ)破壊できない者には創造は出来ない。物質だけでなく思想や想像でもそうじゃないですか。

バカの大足、マヌケの小足、惰眠の猫足


 プジョーの足回りはとてもしっかりしている。スズキさんちのアルトくんはフニャフニャな足回りで日常使いならいいとしても、ちょっと走ると途端に危ない。あれは全てフロント足回りの作りのせいだと思っている。

 そこからするとプジョー106の足回りは日本車とはちょっと違った思想で作られていて驚く。ゆえにちょっと直そうとすると苦労するんだよね。

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 これはフロントロアアーム。手前に見えるアルミの物体がロアアームのリア側ブッシュである。アルミ製ということから察せられるかと思うがレース用である。中心部の鉄製カラーとアルミのハウジング間にゴムブッシュがわずかに存在する。このゴムブッシュがわずかなのでロアアームは回転軸に対して忠実に旋回するようになっている。つまり「たわみ」が極めて少ない。

 ちなみにブッシュの圧入する角度についてだが、サスアームを地面へこのように置いたときにブッシュのボディ取り付け面が地面と平行になるようにすると現在のサスペンションでちょうどいい位置になるはずと読んだ。

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 このブッシュを圧入するにはプレス機とジグが必要になるが持ち合わせているわけがない。そこでM16のボルトとナットを利用してブッシュをロアアームへ叩き込む。

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 使い方はこのようにする。ボルトに通したナットとワッシャーを介してブッシュをサスアームに押し込みます。ハンマーでボルトを叩くだけです。ブッシュを直接ハンマーで叩くわけではないのでブッシュが痛みません。

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 ブッシュはアームに全て叩き込んではいけない。取り付け位置があるので写真のように隙間ができる。この隙間がないとブッシュを引き抜くことができないので注意だ。

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 アームにブッシュを組み付けたら車体に取り付ける。外側からボルトを差し込んで室内側でナットにて固定する。ボルトを離すと重力によって落下してしまうのでジャッキでボルトを押さえておく。

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 室内側。作業しにくい。なんでナットを固定しなかったのか不思議に思ったが、ナットをボディに溶接してしまうとブッシュ圧入位置によってはサスアームが取り付けられなくなる可能性があったからと推測している。

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 ロアアームをボディへ取り付けてみる。スタビライザーとブッシュのアルミブロックが干渉しているけれどまぁいいか。

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 バラバラの部品を取り付けて足回りが完成した。ステンメッシュのブレーキホースは口金がバカになっていたから交換してもいいかもしれない。左側はうまく組み上げられたが、右側はどういうわけだかドライブシャフトが挿入できずストップ。


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