ヤブ医者の健康診断6


 ようやく梅雨があけました。

 クルマの整備をすることができるのは3〜4時間がいいところです。歳のせいか暑いと長時間は続けられませんね。  

ギアの分解


 前回はデフの摘出までできました。

 そこで今回はトランスミッションのギアをバラしてみましょう。

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 ピニオンシャフト側のエンドベアリングをまずは外してみましょう。

 とはいってもベアリングとギアの隙間はほんの僅かです。とてもギアプーラーが入る余地はありません。ベアリングとギアの隙間にマイナスドライバーの刃先を突っ込んでみましたが、ベアリングはぴくりとも動きませんでした。

 そこでベアリングに噛んでいるリングにプーラーをかけて少しだけベアリングを引き出しておきます。

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 そこからはベアリングプーラーでベアリング本体をがっちり掴んで引き抜けます。ちなみに使っているのはアストロプロダクツのベアリングプーラーです。

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 ベアリングがコロンと外れました。トランスミッションの部品は組み付ける向きなどがあるので、このように写真を撮っておくと、組み立てる際に役立ちますよ。

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 4速のギアをゆっくりと引き抜きます。シャフトにスナップリングが噛んでいるのでそれも外してあげましょう。

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 3速のギアも外します。外したら順番に並べておかないとわからなくなります。  

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 2速のギアを外すとようやく1速のギアが見えました。

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 ギアが左右に移動しないようにする為にスナップリングがシャフトにはめ込まれています。これはマイナスドライバを二本使って、片方は手でしっかりと持ち、もう一方をハンマーで叩くと外れます。ギアを痛めないように保持するといいです。  

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 最後にエンドベアリングを外します。プレス機があればいいのですが、なくても外れます。プーラーの引っぱり棒を延長したらギリギリ足りました。

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 これでピニオンシャフト側が全部外れました。LSDを組込むにはこの状態まで持ち込まないとなりません。プジョー106のデフはリングギアとデフ本体が焼きバメ式なのでLSD本体を持ってきて純正のリングギアを組み付けるということが簡単にできない。

 そこでLSD本体にボルト留めできるリングギアとそれに歯が合うピニオンシャフトのセットで販売されているわけだったりする。お陰で歯のタイプもヘリカルカットギア(斜歯歯車)とストレートカットギア(直歯歯車)の両タイプを選択できるし、歯数も自由自在なわけだ。もちろん価格はそれなりになるけれど。

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 シンクロのヘタリ加減がまるでわかりません。数値でわかるならいいのですが、じゃぁいくつからなら交換時期なのかという数値がわかりません。まぁ走ってみたところ変速に異常はなかったのでしばらくは大丈夫かな。  

外してみなければわからない 


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 ミッションを降ろしたついでにクラッチも確認しておきましょう。走っていたときには特に不満はありませんでした。でも、目視しないと本当のところはわかりません。

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 クラッチを外してみました。まだ使えそうですが溝が消えかけております。そろそろヤバそうなのでこれは交換します。

水遊び 


 折角トランスミッションを降ろしたし分解したのでミッションケースを清掃してから組付けたい。

 そこでミッションケースにくっついている部品を全て外して丸ごと掃除してみたい。

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 クラッチのレリーズシャフトを外します。これもコッターピンで組付けられていたのですが、そのコッターピンが容易に外れない。ピンポンチでガンガン叩いても外れないので、引き抜くのに2時間以上かかってしまった。なんかコツがあるのかな?  

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 ドライブシャフトのシールも外します。マイナスドライバーでこじるだけなのですが、ちょっとコツがいります。

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 プジョー106はプジョーのなかでも一番安価なクルマなので、トランスミッションケースのアチコチにバリがあります。手を怪我するのでヤスリでバリを取り除いておきます。  

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 ベルハウジングの内側も手でキレイにしてみましたが、隅にはまだクラッチのダストが残っています。なかなか落ちないんですよね。

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 ケースの外側も細かいところの汚れは手でゴシゴシやっても落ちません。まぁこんなものでしょう。

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 ここでちょっと水遊びをしてみます。というのも最近ウェットブラストというものがあるのでそれを試してみたいのです。サンドブラストはメディアとして砂を吹き付けて研磨するのですが、ウェットブラストは水と非常に細かいメディア(砥石の研ぎグソのようなもの)を一緒に吹きつけるものです。

 そういう機械が近所のレンタルガレージ「サンエース」で30分2,500円で借りれるというので早速電話して行ってみました。

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 神奈川の羽沢にあるサンエースです。普通の工場に見えますが、本田のSクーペがいたりします。本田と比べるとワタクシの足車である5ナンバーの青いセレナが恐竜のように大きく感じます。

 すでに連絡済みだったのでスムーズに案内していただきました。写真は撮りませんでしたが、レンタルガレージというよりは倉庫のなかに何台もレストア途中のクルマがあるといえばいいのでしょうか。

 アルファ、セヴン、フィアット。アメ車もレストア途中でしたし、自走してきて整備しているクルマもありました。やっているな感があるクルマはやっぱりそれなりに見えるものです。

 さて今回のウェットブラストとはこれだ。

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 なんだかどこかで見た事あるようなキャラ?ですね。

 基本的にはサンドブラストの箱と同じです。ただ球体というのが特徴でしょうか。バイクのホイールが入るくらいのサイズだったりします。

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 蓋を開けると中には回転テーブルがあり、ワークを回す事が出来ます。メディアを吹きつけるガンにはメディアと水を供給するホースが接続されております。

 メディアは予想通りかなり細かい粒子なので研磨材としては仕上げ向きじゃないかと思うんですよ。つまりいきなりミッションケースを投入してもそんなにピカピカにはならないと予想しました。

 でも、試してみたかったのでそのままやってみます。

 1,300ccのFF車のミッションケースなので2ピースあります。1ピースに30分をかけて合計1時間でどこまでキレイになったかというとコレだ。

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 パッと見はとても綺麗になった。手ではどうしても掃除しにくい細かい部分がスッキリしている。

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 アルミの錆はどうにもならないのでやはり一度サンドブラストで全体を研磨してからウェットブラストをかけたほうがキレイ度は高そうである。

 とはいってもワタクシ場合はアメリカのショーカーのようなピカピカである必要は全くない。汚いミッションケースがキレイになれば目的は達成なのでこれで十分である。

 ウェットブラストでキレイになるのはいいのですが、問題はここから。メディアの粒子が非常に細かいので、このあとに洗浄しないければなりません。ワタクシは家人がいない隙に自宅の風呂場でこのミッションケースをゴシゴシ洗いました。ウェットブラストに1時間、洗浄に1時間というところでしょうか。

 夏場にいい水遊びをしてしまいました。

酔猫庵式ブレーキピストン・リムーバ


 フロントブレーキのO/Hを忘れていたのでちょっとやってみる。

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 ワタクシのプジョーにはBENDIXのブレーキが装着されている。日本ではあまり馴染みがないが、有名どころではある。ブレンボもそうだけれど、モータースポーツ以外では有名なブレーキ会社は結構あったりする。

 プジョーのブレーキの面白いとこはパッドが摩耗するとお知らせしてくれる。写真にある2本の線がディスクに接触するとボディGNDに接続されるので、メーターの警告灯が点灯する仕組みだ。

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 キャリパーを取り外してみる。パッドが外せないと思ったら下側のパッドに絡まっているハーネスガイドの取付け方が上側と相違している。ブレーキパッドが摺動しないけれど、よく乗っていたもんだ。

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 パッドを取り外してみたら驚いた。なんとパッドはイギリスのルーカス製である。久しぶりにルーカスの部品を見たなぁ。

 さてパッドを外したらピストンを外すことになる。ピストンをチェックしないでブレーキを整備したことにすると後で痛い目にある。しかしキャリパー単体になった状態でピストンを抜き取るには油圧ラインにコンプレッサでも繋ないで空気の圧力でピストンを抜くしかない。あ、グリースガンで抜くのも手ですが。

 しかしワタクシはコンプレッサもグリスガンも今はない。そこでどうしたかというと・・・

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 自転車の空気入れとキャリパーを耐油チューブで接続する。空気入れをシュコシュコとポンピングするとキャリパー内に空気圧が掛かって圧力でピストンが抜ける仕組みだ。

 ワタクシはロードバイクをやっているので10キロくらいまで圧力を上げられる空気入れを持っている。フランス式バルブのチューブの使い古しがあったのでバルブ部分だけ取り出してホースに接続する。チューブは外れないようにインシュロックで締めておくのよね。

 チューブを二重化したり、インシュロックで締めたりと工夫してピストンを外すのに1時間もかかってしまった。でも、これでどんな車両のブレーキピストンも外せるよ。

 ホームセンタで各サイズの耐油チューブが売っているので各種数メートル分を購入しておくと、このようなピストン押し出しも出来るし、油圧回路のエア抜きもできるの重宝するよ。

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 ピストンが外れたらピストンとシリンダのチェックです。18万キロの割には綺麗なピストンなのでここ数年で交換されたのでしょう。シリンダは写真のようにカジリの跡があります。これはパッドがディスクを掴んだときにパッドが回転方向に持ってかれるのでピストンがシリンダの側面に接触しているみたいです。

 よくピストンをピカールで顔が映り込むまで研磨している御仁を見かけますが、ピストンはそこまで研磨しちゃダメじゃないでしょうか。それはガラス製のシリンジなどがいい例で、シリンダの内面はピカピカではなく、曇りガラスのようになっています。でも漏れませんし、ピストンがシリンダ内で張り付いて動かないこともありません。純正ピストンもピカピカではなく曇りガラスのようになっています。あれが実は漏れないポイントじゃないでしょうかね。

 キャリパーはブレーキクリーナとナイロンブラシを使ってキレイにしました。キャリパーもウェットブラストするとキレイになりますが、今回はウェットブラストはしません。

よりどりみどりのLSDとトランスミッション


 さて、ここからがプジョーのケンコー診断最大の山場であるLSDの選択である。プジョー106はプジョーのラインナップのなかでも一番下を支えるだけにモータースポーツでもずいぶんと活躍している。おかげでプジョー106のLSDは選択肢がある。

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 QuaifeはヘリカルLSDとしてはつとに有名だろう。このweb siteでもたびたび登場したツチヤさんが「ビート用のLSD作れる?」と直接聞いたくらいのメーカーだ。いや、そうじゃなくて普通のサーキット走行ならプレート式(多板式)のLSDよりもヘリカルLSDのが優位だけれど、今回は平塚のジムカーナをターゲットにしているのでQuaifeはパスする。

 ちなみにQuaifeでもTran-Xというシリーズはプレート式で交換パーツも充実しているので安心だ。

 3J DriveLineもプレート式です。こちらは詳細がよくわかりません。

 CUSCOも海外で有名ですがプジョー106用を昔は売っていたみたいです。現在は在庫限りの販売みたいなので補修部品の入手は正直よくわかりません。

 イタリアのBacciはやはりレースでも有名です。日本車のLSDも作っています。価格はちょいとお高いですが、信頼性もあり日本でも使用実績があります。

 GRIPPERは詳細不明です。インターネットの掲示板をいろいろと見回してみても

 「おい誰か。GRIPPERのLSDを使っているヤツいるか?」

  と投げかけられるくらいです。

 なのでよくわかりません。

 APのシュアトラックは現在は作っておらず入手は不可能に近いみたい。フジユニバンスが富士重工向けに出しているだけみたいなので、もうプジョー用は生産されないのかも。

 純正LSDとしてPeugeot sportからもLSDが発売されています。ただし詳細はまったく不明ですが、ある筋の情報によるとZF製らしいです。ホントかどうかもちろんわかりませんが。

 で、実はZF製のLSDも販売はしていますが、やっぱり詳細は不明です。

 RSXのプレート式は5枚プレートで角度も選択できる。3JDrive Lineとクスコを足して2で割ったようなタイプです。利用実績がほとんど見当たりません。

 同じくRSXのギアタイプはRSX曰く「クアイフによく似ている」という。プレート式とリングギア取付け部に互換があるため、プレート式とそっくり入れ替えが可能みたい。

 というわけで調べただけでも11種類もあります。でも、現物を見た訳でもないので、実際には同じものを名前を変えて売っているだけかもしれません。最終生産が2002年というクルマで現在2014年ですから、生産終了からおよそ12年の歳月が過ぎているのにも関わらず、これだけまだ販売されているというのは驚きです。

 LSDがこれだけあるというのはそれだけモータースポーツに利用されるトランスミッションといえるのでしょう。プジョー106に搭載されているMAタイプのトランスミッションはローバーのMG-Fにも搭載されていました。

 それだけにレースで使うことを前提としたアフターパーツが増える訳でして、ミッションそのものも何種類かあります。

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 スペインのRS-Xというところがシンクロメッシュでストレートカットのギアセットを販売しています。シンクロメッシュは純正品を利用するので部品は心配なさそうです。クロスレシオになるので向きが合えば価格もまずまずです。

 ご存知クアイフもシンクロメッシュでヘリカルカットのクロスレシオギアを販売しています。クアイフは純正品としても採用されているメーカーなので安心感はありますね。

 クアイフではドッグミッションも販売しています。受注品なのですが、ファイナルギアも選択できます。シーケンシャルシフトになるかどうかは不明です。普通のHパターンになります。

 イギリスのAvantiからも5速と6速のクロスミッションが発売されています。Avantiはフランス車やイタリア車の部品を販売しているみたいですが、こちらもあまり情報は多くないです。

 イタリアのBacciもミッションを出しています。実はシンクロメッシュタイプとドッグタイプがあります。さらにドッグ6速+シーケンシャルもあります。ラリーなどの映像で見られるのはこれかもしれません。ただし価格が小型車1台分なので、ポンコツプジョーにはもったいないです。

 とりあえず部品の販売状況やスペックなどはわかった。選定して購入するわけなんだけれど、このくらいの価格になるとクレジットカート払いではなく、海外送金となる。日本から海外へ送金するのは結構面倒なことだったりする。

 手数料が安価なのは郵便局だが、平日しか受け付けておりません。銀行などもネットで出来ると書いてありますが、実際にはネットから海外送金先の申し込み用紙をダウンロードして印刷し、それを郵送しろというニントモカントモなハナシであったりします。

 というわけでまずは海外送金できるように準備をするところまでで今回は時間切れ。次回は発注とうまくすれば部品到着までハナシができそうです。


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