フロントストラットは分解出来ず、リアアクスルもまだ分解出来ていない。そこで今回は少し工具を買い足して整備を進めてみたい。
といったって購入したのはこんなものだ。
パイプレンチはストラットシェルケースのリングナットを外すための工具。フレアナットレンチはリアブレーキラインの取り外しのため。カーボングリスは接点への塗布のためだ。
ストラットを取り外したものの、シェルケースのリングナットはチェーンレンチで締結を解く事が出来なかった。そこで登場するのが先ほど紹介したパイプレンチだ。
予めネジ山へ5-56を含ませておいて、パイプレンチに単管パイプを延長して馬鹿ヂカラで締結を解いた。
ここまでは余裕・・・ だったのだが、てっきりビルシュタインのショックアブソーバーがインストールされているものばかりだと思っていたのにストラットのシェルケースから現れたのはオイルだだ漏れの純正ショックでした。いやこっちがショックだよ。
たしかに売り主はビルシュタインが入っていますとは言っていた。しかし前後共とは言っていない。リアだけだったのか!
それにもめげず車高調キットを組込んでみた。
上側のヘルパースプリングと下側のメインスプリングの間にはスペーサーを入れているのだが、シェルケースのタップ部分まで降りてくるとスペーサーとタップ部分が接触してしまいそう。
今回はメインスプリングを9kg/mmとしているのでどの程度縮み込むかわからないが、メインスプリングが線間密着した長さ分以上はタップに取付けられている2つのリングナットを下げる事はあぶなさそう。
ここまでは左側のストラットなんで、残り右側も手順がわかれば簡単簡単・・・
のはずだったのにストラットのトップナットを外そうとしたらトルクスレンチがへし折れた。錆ていたのでトルクスレンチを叩き込んだものだから折れたらもうどうやっても外れない。困ったぞ。
折れたトルクスレンチを溶接してもう一度外そうとしてみたものの溶接部分が剥がれてしまいだめだった。
しかたがないのでストラットそのものを取り外してスプリングを圧縮しておいてある隙にシェルケースのリングナットを外してストラットを取り外します。なんでタイヤがついているかというと、ストラットが固定出来ないためパイプレンチを回すとストラットも共周りするので固定するためだ。
ショックは外れてもアッパーは外れない。そこで捨てても惜しくない純正ショックだからシャフトにスパナをかけられる溝をサンダーで掘った。
パイプレンチで掴んでまわせるかと思ったが、シャフトにはパイプレンチが噛み付かずツルツル回ってしまったためだ。なぜならストラットのシャフトは熱処理をしているため非常に硬くパイプレンチのギザギザの歯が噛み付かないためだ。パイプレンチは自分の歯よりも固い材質のものには歯が噛み付かないので回せないという弱点がある。
ならゴムシートでも噛ませればいいじゃないかって? ゴムシートをストラットシャフトに巻き付けてもその静止摩擦力なんてつるつるのストラットシャフトの上ではたいしたことないんですよね。だから滑って全然だめなのよ。
ストラットは分解できたのだが、オイル漏れ漏れの純正ショックなぞゴミにしかならない。安価な社外品のショックはすぐダメになるしジムカーナで勝負にはとてもならない。
オーリンズなどの「それなりのお値段」のショックを一度、味わうと今更安価なショックなんでドブにお金を捨てるようにしか思えない。
しかし新品でそれなりのショックを購入しようとすると車両価格の半分くらいになってしまうのは考えものだ。そもそも18万円のプジョーなんだよ。
そこでヤフオクを眺めていたら中古でアラゴスタのショックアブソーバーを発見した。うまいこと1万5千円で落札できた。
もともとオーバーホール前提の品物だったんだが、ショックのオーバーホール費用が一本12,000円程度なので新品を購入するよりも安価に済むはず。
試しに組込んでみたら思いっきりショート加工されていた。ひょっとしたらヘルパースプリングは不要かもしれない。とりあえず組つけられそうなので厚木にあるオリジナルボックへ修理依頼をだしてみた。
プジョーのフロントサスアームはブッシュがアームシャフトに圧入されている。
これを外すにはプレス機が欲しい。ワタクシも手作りのプレス機を持っているので久しぶりに引っ張り出してみたが、残念なことにサスアームのブッシュを外すにはプレス機の間口が狭くて出来なかった。あと2cm余裕があればなんとかなりそうだったのだけれど。
インターネットで調べてみると単純な方法で取り外していた。
フロント前側のブッシュは適当なソケットとボルト&ナットでインナーカラーを引きちぎる。最初にガストーチでブッシュを熱しておくと千切れやすい。
するとアウターカラーが残っているので耳をサンダーで削り落とします。左側のアームは耳を削り落としましたが、右側のアームは要領がわかったので耳を削り落としませんでした。
削り落としたらアウターカラーを金ノコで2カ所ほど切り込みを入れてタガネでアウターカラーをサスアームから引きはがします。
一方、フロントサスアームの後ろ側のブッシュはギアプーラーでゴムの部分を引きちぎります。これがなかなか大変です。プーラーを持っていない人はサンダーで削るというのも方法です。
やはりサスアームシャフトにインナーカラーが残りますのでゴムの部分をある程度削ってから金ノコやサンダーでカラーへスパイラルに溝を掘ってやります。サスアームシャフトに傷を入れない様にするのが難しいです。
文章で書くと簡単ですが、首の皮一枚でカラーに溝を入れ、カラーをガストーチであぶって膨張させてからタガネで叩き出す。経験のない人にはちょっと難しいかもしれません。一度やってしまえばなんてことないんですがね。
ちなみにこのタガネは市販品を改造したもので刃幅が極端に狭いです。なぜならハブナットの潰しを起こしたりするのに使うためのタガネだからです。刃が舐めないように焼きを入れてあったりします。近年の自作STTのなかでもマスターピースです。
悪戦苦闘の末、カラーを外しました。プレス機があればあっという間ですが、こうやってやると一日で両足分を処理するのがやっとでしょう。アァクタビレタ。
最後にブッシュの組付けです。赤いブッシュは簡単に挿入できました。アルミブロックのブッシュは圧入しないとなりませんが、適当なソケットを当てて叩き込みました。
いくら1990年代のクルマだとしてサスアームが鋳造品というのは日本車とはずいぶんと考え方が違います。最低でも三カ所は機械加工を入れてやらねばならず、決して安価とは思えませんが、プレス品だとこの形状で強度を出すのはちょっと難しいのでこういう事になったのではないでしょうか?
サスアームが終わったら次はフロントスタビブッシュの交換です。
赤いのが社外品。黒いのはへたった純正品です。ずいぶんと痩せてしまっています。
スタビブッシュを取り外すのは簡単ですが、組み付けるのはちょっと難しいです。写真のようにジャッキでスタビマウントを抑えておいてからボルトを締めるといいでしょう。
というのもボルトが斜めに入ってしまったため、ネジ山が痛んでしまったのです。今回はネジ山修正ツールを用いて治しましたが、こういうのを持っていないとホント苦労します。
ブッシュの回転部分にはトヨタ純正ラバーグリースを塗布しておきました。
下に潜ったついでにミッションのシフト遊びの原因も探ってみる事にしました。 予め購入しておいた強化シフトリンケージを組込むというのも目論んでいるのでついでにやってしまおうという頭です。
しかしそんなに甘くはなかった。
マフラーを降ろして遮熱板を剥がしてようやくシフトレバーの真下に到着したのですが、あんまりにもシフトリンケージにガタがあるので、シフトレバーがシャーシパネルをベコベコ叩いてシャーシパネルがアチコチ凹んでいるのです。おいおい、そんなのありかよ?!
どこにガタがあるのか探っていくととんでもない事がわかりました。
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