ミヤタ君、終のツーリング
箱根駅伝というものがある。
正月に行われる大学対抗の駅伝である。
どういうワケだか関東の大学しか出場できない。
そういうイベントだからだろうけれども。
ちなみに我が母校は予選会にすら名前を聞かない。
それは工業大学だからオタッキーばっかしというのは否めないなぁ。
まぁそれはいいとしてやっぱり人がタスキをつないで大手町から芦ノ湖まで走って返って来るというのはドラマがある。
決して勝った負けたというだけにとどまらない日本人向けの情緒的なものがある。
そんな駅伝レースに対して
「自転車でもって駅伝よりも早くスタートして追いつかれずに芦ノ湖まで逃げきろう」
というイベントが存在する。
ほほう。それは面白い。
そのイベントにクルマ仲間のアベちゃんと出てみようかと企んでいるのだが、
ここでちょうどよいところにカミさんと子供が二人して出かけることになった。
これはコースを下見するチャンスということでアベちゃんに抜け駆けてやってみた。
それを思い立ったのは金曜日。
翌日からの天気予報は「くそっ寒いでしょう」と注意している。
ところがワタクシ、自転車向け真冬用装備は持っていない。
手袋はまぁいいとして春・秋向けジャージにトライアスロン用のシューズである。
さすがにそれで箱根に行ったら寒くて帰ってこれなさそうなので少ない小遣いで最大限のパフォーマンスを出せそうなグッズを購入してみた。
購入は帰りがけによったワークマンである。
クロロプレーンリストガードである。
なんでこんなものが必要かというと手首が冷えるからである。
ウェアの袖とグローブの隙間から冷たい風が侵入してきて手首がキンキンに冷えてしまうので困っていた。
ちょうどよいものが見つかってヨカッタ次第である。
インナーソックスである。
トライアスロン用のシューズは水はけを良くするためにスカスカにできている。
夏は実にスースーしていいのだが冬はスースー寒いだけだ。
流石にそれではヤバイのでシューズカバーを購入しようと考えたがお値段が4000円以上もするので諦めた。
で、そのかわりにコレを購入。
冬用手袋もあるんだけれどもそこらのスーパーで購入した800円ほどの代物。
悪くはないんだけれどもやっぱり冷える。
そこでインナー手袋としてコレを購入してみた。
スマフォ対応なのでiPadを使うワタクシには丁度よい。
合わせて1,888円の投資で12月半ばのくそっ寒いなかを走ろうと企んだわけだ。
自宅でウェアを着込んでみると無いよりはマシ・・・ 程度である。大丈夫か?!
防風ウェアじゃないのでスースーすることは間違いない。
そこで無い知恵を絞るとヒラメイタ。
庶民の味方「新聞紙」である。
この新聞紙こそゴアテックスウィンドストッパー下位コンパチなのであるよ。
風は遮るのに蒸れない。冬場に会社でお泊りしたことのある御仁ならその有難味はご存じかと思う。
この新聞紙をスネと肘から手首までに巻きつけてからウェアを着こむ。
さらにお腹の部分にも当てておく。
暑くなったら捨てても惜しくないし、どこでも調達できる新聞紙。
いまあるリソースを活用して冬場の走行に備えてみた。
土曜日の朝、4時半に起きて朝食を済ませたら6時に自宅を出発。
50分ほどで東京大手町に到着。
東京駅周辺はビルの建て替えラッシュで職人さん達が大勢いる。
寒い寒いとトイレはないか考えてみたが大手町にトイレなんてあるはずがない。
駅か皇居しかないので途中で見つけたら寄ることにしてスタート。
土曜日といえどもクルマが多い。
御成門付近で公衆トイレを発見したのでトイレ・イン!
ささっと済ませて再スタート。
天気予報では西高東低の気圧配置だったので西から東へ風は流れる筈。
しかし西に向かっているのに追い風で30km/h以上で巡航できる。
品川からは国道15号線で追い越すクルマの風でさらに速度は伸びるが信号機にバンバンひっかかる。
思ったよりもストップアンドゴーが多い。
しっかし春用ウェアにゴアテックス下位コンパチじゃやはり寒い。
いや新聞紙のある部分は確かに温かいのだがそれ以外は全部寒い。
とくにつま先は既にしびれている。寒さをナメていました。
大手町から1時間ほどで川崎を通過する。
前日の晩にツイッター上でキャノンボーラーの「ばる」さんと一緒に走りませんかというナンパを頂いた。
ばるさんは川崎から7時に出発するよー ということです。
ありがたいお話なのですがキャノンボール達成者と同じペースで走る自身がないので遠慮させていただいた。
結果的にはこれは正しかったのですが、速い人と走るのは学ぶべき点が多いので受けるべきなんですよね。
と、この時は後悔しましたがね。
大手町から1時間半ほどで横浜に達する。
この時の平均速度は20km/hちょっとというところ。
これはかなり遅い。普段のジテツウだってこんなには遅くない。
信号にひっかかりすぎる。
横浜を過ぎるとアップダウンが始まる。
首都高狩場を過ぎるともうすぐ戸塚だ。
と、ここで問題発生。
箱根駅伝は戸塚の駅周辺のいわゆる東海道ではなくバイパスになる国道1号線を走る。
GPSのナビもそれを示しているが、戸塚駅を迂回する国道1号線は自転車進入禁止だ。
しかたがないので戸塚駅前を通過する東海道ルートを走ることにする。
こうやって事前に試走してみると自転車ならではの問題が見えてくるから大事だ。
しかし、戸塚駅周辺は朝っぱらから大渋滞。
前を走るスクーターの女性がまた下手糞な運転でなかなか進まない。
歩道を走るママチャリにバンバン抜かれる。
自転車は歩道を突っ走るなという法律じゃない決まりがあるので困る。
極めつけは戸塚の踏切で電車3本を待つという事態に。
これじゃぁ牛丼屋で朝飯でも食べてもまだ踏切が開かないくらいだぜ。
戸塚を抜ければ藤沢を抜けて国道134号線までスムーズだ。
藤沢駅近くでカーボンホイールにカーボンフレーム、推定価格80万円はしそうな超高級ロードバイクが前方に現われた。
よーくみると白髪がまじるところからそれなりの年齢の方であることが伺える。
ワタクシが後ろに着いてもペースを乱すことなく進んでいく。
ウチの車両価格は向こうの1/100以下なんだけれども、こっちのが若いぶんちょっと速い。
国道134号線も平塚を過ぎた辺りで一度追いぬくが、信号停止しているところで向こうは信号無視で消えていった。
交通ルールは尊守が原則なので信号は守るぜ。
しかし、この頃は10時を過ぎて太陽も登ってきたから少しだけ汗をかくくらいに暖かくなってきた。
大手町から85km程の小田原に約4時間で到着。
通常なら4時間あれば100kmほどは走る筈なのに全然遅い。
まぁ下見だからいいけれどもこれじゃ追いつかれるな。
ここでセブンイレブンに寄ってポカリスウェットを購入。
菓子パンでも食べようかと思ったが手持ちの補給食であるカロリーメイト下位コンパチを食べればいいやということでパスする。
これが後に大変なことになるのだが。
箱根の山は過去に3回自転車で登っている。
まったく初めてというわけじゃないのでコースの雰囲気はわかっている。
湯元あたりまでは緩やかに登るが、そこから富士屋ホテルまでは急勾配が続く。
ここらあたりまではまぁヨカッタがその後の小涌園あたりから急に登れなくなる。
オカシイなぁ・・・・
と思っていると大変なことに気がついた。
朝食に卵かけご飯とさっきカロリーメイト下位コンパチを一本食べただけである。
つまりこれはハンガーノックアウトという状態であろう。
なんと箱根で燃料切れという事態に陥る。
ボトルのポカリを飲んでも回復するわけではないのでクルマから安全に避けられそうな場所を見つけて一時休憩。
手持ちのカロリーメイト下位コンパチの残りを全部食べるものの、それが力になるまでには30分はかかる。
しかし身体を動かさないと寒くていられない。
なんでウィンドブレーカーを持って来なかったのかと。
普通、峠を走るときにはウィンドブレーカーを持ってくるだろうに。
準備不足を呪っても仕方がない。
よろよろと立ち上がって自転車を車道に戻そうとするとこのクソ寒い中に下山するローディーが現われた。
二人列車で黒いフレームとあの体格はひょっとしてばるさんかな?
そうは思って声をかけようとしたらあっという間に見えなくなった。
なんとか漕ぐくらいの力はでるようになったので国道1号線最高地点まで頑張ることにする。
ここまでは頑張るだけなのでまだいい。
問題は最高地点から芦ノ湖に下るまでの数キロ。
寒くてどうにもならない。
ブレーキで速度を落とさないと寒い。
既に手足は凍りついたように冷たいのでちっとも減速しない。
もう温かいラーメンを食べることしか頭にない中、大手町から約6時間もかかって芦ノ湖に到着。
箱根駅伝は5時間30分程度であるから30分もランナーより遅いわけである。
「ラーメン、ラーメン」と呪うかのように唱えながらラーメン屋を探して飛び込む。
あのさ、芦ノ湖に行ったら蕎麦を食べないの?
ごもっとも。
芦ノ湖で食べる蕎麦は観光地価格なのですよ。
だから蕎麦よりもラーメンのが同じ分量で安いってわけです。
まぁそもそも観光地では何食べても高いもんですがそれでもきょうびラーメン600円なら安いもんだと思います。
定食屋でストーブの前で温まりながらラーメンが出来上がるの待ちましたよ。
芦ノ湖の気温は4度。そりゃぁストーブが必要なわけです。
出てきたラーメンは本当にシンプルな醤油ラーメンでしたがハンガーノックのワタクシはぺろりと平らげてしまったよ。
すっかり身体も温まり勘定を済ませて店を出ると・・・
「寒っ!!」
まるで冷蔵庫の中にいるようです。
一瞬、自転車を置き捨てて電車で帰ろうか?とも思いよぎったのですがさすがにとどまりました。
来た道を下るだけ・・ がこんなに大変だとは想像しておりませんでした。
自転車を漕いでいるぶんには熱を持つので寒くないのですが、
下りでは惰性で進むので風を切るぶんだけ寒い。
それも尋常じゃない寒さに歯の根が合いません。
なんでウィンドブレーカーを持って来なかったのかと悔やみますがそれもあとの祭り。
しかもそのうちに眠くなってきた。
そりゃさっきラーメン食べたからね。
ウトウトしながら箱根を下る。
今更ながらこんな危険な行為をナゼしていたのかと。
富士屋ホテルの前で観光客のおばちゃんが道路に飛び出してきて危うく接触しそうになり目を覚ます。
湯元まで降りると下界の空気に変わりずいぶんと暖かく感じるようになる。
スピードも出せるようになり下りの惰性を利用して一気に小田原の街を抜ける。
平地に出ると予想通り追い風に乗ってやはり30km/h以上で巡航を続ける。
何人かのローディーに追い抜いたり抜かれたりしながら二宮付近まで来てまたしても空腹を感じる。
やっぱりラーメンだけじゃ足りないか・・・
牛丼屋が見えたのですかさず飛び込み牛丼をかっこむ。
いつもだとどこで停車して食べるという計画を立てて走るのだが今回は何もしていないのでどうも行き当たりばったりになってしまう。
藤沢駅、戸塚駅の渋滞に阻まれながらもなんとか横浜駅を通過。
この時点でスタートから10時間40分が経過している。
このころにGPSの電池警告が出ていたのでGPS計測を終了する。
あとは順調に帰るだけなのだが武蔵小山にある自転車屋に注文しておいた自転車が入荷しているので調整のために来て欲しいという連絡をもらっていたことを思い出した。
国道15号を鮫洲駅あたりで左折すれば武蔵小山にいけるはず・・
だったのですが盛大に間違う。
ここどこ?状態。
どういうわけだか環七が見えたのでこれでいまどこかだか判明。
逆走してしまっていたので中原街道に復帰してショップに到着。
注文しておいた自転車とご対面。
フレームにハンドル、クランク、ホイール、サドルを取り付けただけの状態。
とりあえずまたがってポジションを出すという。
ハンドルの高さとかサドルの高さを合わせてオシマイ。
このあとブレーキワイヤーなどを組み付けて完成させるのだという。
ついでなので注文したとおりの仕様か確認してみるとなんとフォークをフレームと同色にしてくれという注文に対しカーボンのままである。
注文書は間違いないのになぜ?
あとでわかったことなのだがこれは「仕様」なのだという。
単色で塗装指示を出すとなぜかフォークは塗装されないとパンフレットにも記載されている。
見落としたとい言えばそれまでだが・・
カーボンとはいえプラスチックだから紫外線の影響受けるの嫌なのよね。
劣化してフォークがポキンと折れても困るし。
それにカーボン柄ってチラ見せがいいんであっていかにもというのは嫌いだな。
なんか店の人もいまいちの表情ではあったが必要なことは済んだので店を出て自転車にまたがろうとするとさっきのスタッフが走り出てきた。
曰く
「個人的な意見なのですが、お客様の肩幅とハンドル巾が合っていないと思います。
なのでもう一度ハンドル幅の検討を願えませんか?」
と。
どうもさっき肩幅を測ったのは指定したハンドル幅と違う気がしたからのようだ。
ロードバイクなんて人によってまったく違う部品がつくのが普通だからそういうこともあろう。
どうもワタクシの場合は芯ー芯で420mmあたりが適切なようだ。
もう物がお店に来ちゃっているのに対応してくれるなんて真面目である。
モールトンに使っているのと同じじゃん。
お店にあるハンドルをいろいろと試してやっぱり420mmで最注文するる。
モールトンに使っているのと同じじゃん。
お店にあるハンドルをいろいろと試してやっぱり420mmで再注文する。
もう物がお店に来ちゃっているのに対応してくれるなんて真面目である。
これで自転車の処理は終わったのでうまくすれば来週末あたりにでも納車できるかもしれない。
およそ2ヶ月はかかったのだけれども少しいい気分で帰れそうである。
が、店を出るとやっぱり寒い。
腹も空いてきたのでまたしても目の前に現れた牛丼屋に吸い込まれてしまった。
期待した温かいはずの味噌汁がいまいち冷めていてがっかりだったが、
これで自宅まで帰るエネルギーは充填されただろう。
あと二時間弱もこげばいいんだから。
五反田駅のガードをくぐる場所を間違えたので戻ろうと駅前ロータリーに入る。
スタンディングスティルといって足をつかずに信号待ちをしていると背後から交番のおまわりさんが声をかけてきた(ように思えた)。
振り返って聞き返そうとしたらバランスを崩して転倒してしまった。
悪いことにワタクシの自転車はペダルとシューズがスキーのように固定できるタイプなのでとっさに足を着けなかったからである。
左膝から落ちてしまいアイタタタ・・・
おまわりさんが「大丈夫ですか?」と焦って聞いてきた。
こちらこそ「何かお呼びでしょうか?」と
とにかく走行には支障なさそうなのでまた走りだす。
御殿山を駆け降りて品川駅前を40km/hくらいの速度でタクシーをチギりながらそのまま通過。
そのあたりから数台の自転車と入れ替わり列車が形成される。
日本橋付近で国道14号線を千葉方面に出る。
あとはいつものジテツウコース。
川を超えるごとに寒くなるがスタートから15時間30分の21時30分に自宅に到着。
メーターの走行距離は260kmでした。
早く温かい風呂に入りたいがまずは風呂を沸かし、その間に片付けを済ませる。
風呂上り後、缶ビールを5本も空けて就寝。
翌日は自動車チームの忘年会だからね。
で、朝起きてみると・・・ 五反田駅で打ち付けた左膝が痛い。
どうも靭帯損傷というところか。
自転車はなんとか走るけれどもリアハブフリーが調子悪い。
ときどきツメが外れるようだ。
もっとも他にも具合の悪ところだらけなのではあるが、
注文している自転車が納車されれば引退である。
実は今回のはサヨナラ箱根ツーリングというわけである。
約3年弱活躍したミヤタのクロスバイクもさすがにアチコチ痛みがひどいのでこれで最後の長距離走になるはず。
次回は箱根駅伝から逃げる話になるでしょう。
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