知恵と勇気(再始動編)



 スペアのエンジンヘッドを入手しオーバーホールまで終えた。
 ここからはいよいよ組み付けなんですが、その前にガスケット類などのショートパーツ等を手配しなければなりません。
 いつもなら近所のディーラーや浜中氏にお願いするのですが、今回はとあるルートで少し安く手配できた。
 しかもマニュアル類のコピーやアドバイスまでいただいてしまった。
 人脈は金脈。ヒトのつながりが思わぬところで返ってくるもんです。

 さて2月の初旬、クソ寒い中で組み付けを行うためにアルトを保管する青空ガレージにプリウスで向かった。

 昨今はABSでいろいろと問題があるといわれるプリウス。ウチのもときどきABSが顔を見せるが、特に問題ない。もちろんシリーズ2はリコール対象ではないので大丈夫なんですが。
 それにしても工具箱3つとケミカル類を収めた箱1つともなるとラゲッジスペースは一杯である。


 アルトはというとボディカバーをまとっている。ちょっと見は普通に走りそうにも見えるが不動の帝王である。なにも帝王の座が不動などではなく、不動であることがつづいているというだけだ。


 不動なのは人間もしかり。氷点下の中でエンジンを組み立てると不動明王像のように固まってしまいます。
 写真は不凍液を溜めていたバケツなのだが、不凍液なのに氷がはっている。
 不凍液が凍っていいのだろうか? いや雨水が分離して凍っただけです。


 シリンダブロックを綺麗にしたあとガスケットを組み付ける。シリンダブロックを清掃するときにオイルラインやウォータージャケットにゴミが落ちてしまうじゃないかと心配したが、プロの整備士曰く「その程度、気にしなくても大丈夫ですよ!」と楽観的だ。


 ヘッドを組み付けてみた。まだ補機類がないのでさっぱりしている。
 このあとにタイミングベルトをつけたのだが、テンショナーで上手にベルトテンションがかけられない。
 もちろんこういう時のためにマニュアルを入手しているのである。エンジンだけを考えればスズキのアルトはセルボ、ジムニー、カプチーノとエンジンは共通する部分が多い。いや同じか。
 これらの車には「マニア」も多いのでこの エンジン整備書 は非常に有用であるといえよう。
 しかし、マニュアルがあれば自動車は誰にでも簡単に組み立てられるというものではない。自転車のパンク修理マニュアルがあるとしよう。だが誰にでもパンクの修理ができないのと同じように、経験やカンがないと整備できないものである。
 タイミングベルトのテンションを張る方法についてマニュアルに記載されている方法ではベルトをきちんと張れないのである。あれこれやって2時間もとられてしまったが方法はこうだ。
 ベルハウジングにある穴からマイナスドライバを差し込んでフライホイールのリングギヤに咬ませる。するとクランクシャフトが回らないようになる。
 その状態でカムシャフトボルトをメガネで反時計回りに力をかけてテンショナーベアリングボルトを締めるというもの。
 どこにも書いていないが、こうすることでタイミングベルトを張ることができる。
 いやいや今までの整備経験があればこそなんとかなったものであろうぞよ。オーヨカッタ。

 久々に補機類を取り付けたエンジン。タペットの調整が終わっていないので古いヘッドカバーをつけてみた。

 ハーネスやホースの接続をすべてチェックしていよいよ火入れ。
 ドキドキしながらセルを回すと・・・・

 あれ、爆発が来ない。そりゃそうだ。このアルトはガソリンポンプが機械式なのでしばらくクランキングしないとガソリンがキャブにまわってこない。
 そこでもうちょっとセルを回し続けるとアッサリとエンジンがかかった。

 OHしたSOHC 4バルブのF6Aエンジンは点火タイミングをとらないといけない。
 というのも一度ディスビを取り外すと一発で元の位置に再組み立てするのが難しい構造をしている。

 そこで写真にある通りタイミングライトで点火時期を合わせ込む。ツールカンパニー「ストレート」で3,000円程で購入。昔、イギリス車に乗っていた頃はタイミングライトをよく使ったのだが、引越しの時に捨てちまった。まさか21世紀の今にまた使うとは思わなんだ。


 タイミングライトでクランクプーリーを照らすとこのようになる。
 普通のFF車はインナーフェンダーの穴からタイミングを測るのだが、アルトにはそれがない。
 写真ではわかりにくいが、クランクプーリーにホワイトマーカーで印をつけて進角を測れるようにしている。

 ひとまずヤフオクで8,000円にて落札したヘッドはなんとか動いたよ。
 以前のようにカムシャフトが「シャカシャカ」いわない静かなエンジンである。これはアタリかも?!
 エンジンの修理には多大なお金がかかるのは一般的なことであると思う。お金はそう多く持ち合わせていないが知恵と勇気があれば乗り越えられるモンである。


 


  
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