希代のキャブ軽自動車 5万円アルトの改造



 ヤフオクで格安にて入手したアルト。たったの五万円。
 このハナシをすると「五万円の車なんて大丈夫なの?」と訝しく思うヒトも多い。
 まぁ、そりゃぁそうでしょう。
 でも実際に運転してみて「十分イケルじゃん」というのが本当のところです。
 不具合といえばサーモスタットが開きっぱなしだとか、カセットデッキにテープを入れるとテープがグシャグシャになるとか・・ そんな些細なもんですよ。

 コイツはアタリだ!と喜んでいたのですが、我々は「しのいサーキットの耐久レース intercupに参加する」ということが本懐であります。
 その事を踏まえつつ耐久レースに出場できるように改造した事をここにまとめてみました。


 主なメニューは前後サスペンションの入れ替え。エンジンマウント交換。ロールケージ、レカロシート、4点式シートベルトの取り付け。
 タコメータの追加。ETCの取り付けである。


<フロントサスペンション>

 カプチーノのM岡氏から譲り受けたアルト用?!サスペンション。
 実際にウチの車に取り付けてみると問題もありんす。。。 まずバネが短すぎるのですよ。
 サーキット走るだけならそれでもいいのですが、公道を走行するのにはイケません。
 そこで何用だかは不明の8kg/mmスプリングをヤフオクにてたったの¥200で入手。送料のが高くつくって。。


 譲り受けたショックはどうも本来はアルト用ではないのではないかという疑問が発生。
 上の写真はストラット下部のホイールキャリア取り付け部分を撮影したものである。
 左はノーマルの形状。

 中央は譲り受けたショックのもの。上下に二個ある取り付け穴のうち、上側の穴は長穴になっているのが判るかと思う。
 実は長穴にしないとボルトが通らない事が判った。

 右はウチらの加工品。長穴にワッシャを溶接してキャンバーの角度を固定できるようにしたもの。
 長穴のままではコーナリングの度にキャンバーが変化してしまいそうなので、固定式に変更したという次第である。


 バネだけが固くなってもコーナーでロールしてしまう。
 そこで藤崎式強化スタビライザーを製作する。
 本来のスタビに平行してもう一本スタビを溶接しておくのである。
 なんだか斜めに取り付けられていると思うのは目の錯覚です(ウソ)。
 

 フロントのロアアームのブッシュも交換しておく。
 アルトのフロントサスペンションのブッシュは全て交換できるのが素晴らしい。
 ついでにもうひとつ。このアルト、ブレーキディスクがとても綺麗だ。
 いつもウチらが乗る車はディスクの外周がパッドと接触しないため錆び付いていたものだ。



 M岡氏からストラットタワーバーも譲って頂いた。
 アルト用なんだけれどもやっぱりボルトオンでは取り付けられない。
 ヤスリでシコシコ長穴にしてなんとか取り付ける

 その脇ではN氏がプラグをチェックしていたのですが、このアルト。プラグを取り外すのにエアフィルタのケースまで外さないとプラグ交換できないのですよ。大変な車だ。



<リアサスペンション>
 軽自動車のような安価な車種はひたすらチープな足回りとなるリアサスペンション。
 もうこれ以上無理です! というくらいに簡単に出来ている。
 まぁそれだけに各社各車種で構造の違いを楽しめる部分でもあるのですが。

 アルトのリアサスペンションもシンプルで安価な作りなんですが、これがちと問題。
 写真はラテラルロッドであるが、この片側しかリアサスペンションブッシュ交換は出来ない。
 つまりトレーリングアームなどのブッシュは非交換式なのです。なのにそちらのブッシュはひび割れしている。アームASSYで購入する金銭的余裕はないので今回はアーム交換はパスします。

 アルトのリアはセパレートタイプのサスペンションなんで車高調というのがつくり難いですな。(ないわけではないが) ましてアルト用のサーキットで使えるバネレートを持つスプリングなんて売っていません。
 そんなワケでバネの長さでピッタシこの車高というのをつくらないとならんのです。しかも極力安価にだ。

 手持ちのスプリングでは高さが不足しているので、2種類のスプリングを切り出します。


 続いてはその二つを溶接して接合してしまいます。
 スプリングを溶接してもいいのか? という倫理的な問題はありますが、金銭的都合上贅沢はできません。左は溶接スプリング。右はノーマルのスプリング。ノーマルはプリロードがしっかりかかるので自然長もたっぷりある。


 そんなスプリングを車両に取り付けてみると当然ながらバネが遊んでしまいます。インリフトをしない自信のある方はこれでもいいかもしれませんが、耐久レースに出場しようとしている我々はこれではイタダケマセン。


 そこでこのスプリングが遊ばないようにします。
 最初に用意するのはナットと余ったゴムブッシュ。


 ゴムブッシュにナットを圧入します。


 そのブッシュにステンレスワイヤを巻き付けます。


 そしてワイヤの片側をホーシングに巻き付けます。
 実はこのアイディアはかつて乗っていたMG-Bと同じ手法なのです。
 MG−Bはゴムバンドで吊るしていました。最初にいろいろとマネしてみましたが、ゴムがビローンと伸びてしまいなかなかうまくいきませんでした。
 そこでステンレスワイヤで吊るすという手法に切り替えたのです。
 普通にワイヤで吊るすと間違いなくワイヤは破断しますが、途中にブッシュがあるので多分大丈夫だとおもいます。


 この通り車体を持ち上げてもタイヤはこれ以上下がりません。
 なんかうまくいった予感。


 後ろ足の整備ついでにドラムを外してみた。
 なんだかシューが随分とへっている。
 フロントのブレーキパッドは交換したばかりだったようだが、後ろはそのままのご様子。
 近日中にこれも交換ですな。


 ついでにブレーキラインのエア抜きもしておきます。
 自作のブレーキブリーダー茶織ちゃんもいつのまにか廃フルードで満タンですよ。
 ブレーキフルードってどこに捨てればいいのでしょうか? 判らないので廃油パックで一緒に燃えるゴミなのかな?



<エンジンマウント>
 アルトを購入後に気がついた事は、エンジンがとてもブレるということである。まぁ多分エンジンマウントが終わっているということでしょう。
 プロメカニックの浜坊氏に訪ねてみても「ある程度の年式になるとブッシュ類がみんなだめになる」と宣う。
 なるほど。ならエンジンマウントを交換しようということになった。
 アルトには4カ所のエンジンマウントが存在する。
 うち2カ所は簡単に交換できたのだが、残りの二カ所はかなり大変。

 フロント側はエアコンやラジエターをズラすだけではだめで、クロスメンバを外さないとダメでした。
 

 後側はレンチが殆ど振れず外すだけで一時間以上かかりました。
 写真はやっとこさとれた後側のマウント。
 取り付けもN氏に手伝ってもらえなければかなりの時間を要したことでしょう。
 プロはこれを1万5千円でやるといっていました。
 自分は5時間くらいかかったので、この辺りにサンデーメカニックとプロの差を感じます。
 外したエンジンマウントは案の定千切れていました。


<ロールケージ>
 トディからアルトに変えて困るのが部品が共通ではないということである。折角購入したサスペンションやロールバーが使い回せないというのは大きな問題である。
 だからといって新品のロールバーを購入することはなかなかに難しいのでトディのをなんとか流用出来るように努力してみる。

 車内に一先ず組み上げてみるとなんとか収まった。まぁ同じ規格の車両同士ですから、そこそこいけそうなものですよねぇ。


 組み上げる事が出来たからといって、取り付けられたわけではない。
 一番難しかったのがフロントタイヤハウス側の取り付けだ。
 写真ではなんでもないようになっているが、ここはロールバーが床まで届かなかった。そこである工夫をして床に固定出来るようにした。その方法は恐ろしくてここには書けない・・


 これで完成。まるでアルト用かのようなトディ用ロールケージである。
 後部座席側は乗降の妨げになっていないような気もしないでもない。これで車検を突破できるかチト心配だ。


<タコメーター>

 低グレードの車両にはタコメーターが省かれている事が多い。
 ウチのアルトももちろんタコはついていない。

 そこでヤフオクにてオートゲージのタコメーターを¥4,800にて落札。
 ポットは高価なことと取り付け場所が制約されるので、取り付けステーは自作する。

 といっても時間もあんまりないのでその辺のフラットバーを曲げて溶接しておしまい。
 これでエンジンの回転数がわかるのであるが、暖気状態でもスローが1400回転以上あることに気がついた。

 ちと高いんじゃないか?と思い、スズキのメカニックに聞いてみると・・・ 「そんなもんですよ。なかには2000回転くらいにする車もありますから。」とのこと。2000rpmもあったらローギアが使えるのだろうか? そんなんだから燃費が悪いのかな?
 ちなみにこのモデル。昼間は表示が暗い上に赤い針がちっとも見えない。ところが夜になると文字が明る過ぎてチラついてしまう。
 値段相応だといえばそれまでだが、このモデルは値段以外には勧めるところは何も無い。


<レカロシート>

 アルトは良心的な作りをしていると思う。特にホンダに比べるとシートは格段によくなっていると思う。しかしこれではモータースポーツにはチト不足。


 そこで手持ちのレカロシートを移植したい。
 しかしながらアルト用シートレールは1万円以上もする。
 そんなものはおいそれと購入することができないので、またしても自作ですがな。


 狭い軽自動車にレカロシートを取り付けるのはとても苦労する。
 サベルトのシートベルトも取り付けてオシマイ。


<水回り>
 この車、いくらエンジンが温まっても水温計がほとんど動かない。
 サーモスタットが全開バリバリ。いや開きっぱなしなのかも?
 暖気状態で水温センサーの抵抗値を測定すると51オームくらいあるんでセンサーは動いているようだ。またセンサーラインをGNDに落とすと水温計も振り切れるので計器は大丈夫な様子。
 ということでサーモスタットを見てみると・・・

 サーモスタットはディスビの下にあるのでちょっとやっかいだ。


 なんかゴムパッキンがガビガビなんですけれども。。 つっつくとボロボロと崩れてしまった。
 これはイケません。


 これは新品。
 早速新品のサーモスタットを取り付けてみる。
 エンジンをまわしてみるが水温計はまったく動かない。はて?
 そのうちにホースから水漏れし始めた。
 電動ファンもまったくまわる様子がない。。。。

 センサーの故障なのかも? これ以上はちょっと手に負えないので近所のスズキ自動車に持ち込みました。
 診断の結果はセンサー不良とホース類の劣化によりその辺を全て交換ということになりました。
 水回りに圧をかけたらあちこちから水が洩れ始めたらしいです。あう〜。

  
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